#2-5 寄生


ハイテク株というのは、成長株と考えられがちだが、ハイテク株をおおまかにとれえれば、景気循環株なのではないか。
日本の場合、経営が優れている会社が多いということが、ハイテク=成長のイメージに繋がっているところがあるのではないか。
しかし、ハイテク株の中でも情報産業に帰属するものは、かなり寄生的な性格を持っているのではないかと思われる。製造会社と情報産業という2社に議論を単純化すると(製造業のウェイトは低下しても、景気諸統計からは製造業が景気を左右しているように思われるため)、 こう考えられるのではないか。つまり、 製造会社が拡大すれば、処理される情報量が拡大し、情報産業も拡大する。一方、 製造会社から情報産業に支払われるサービス対価は、製造会社の収入を上回ることはない。つまり、まず製造会社の成長ありきでなのではないか。
確かに現在は、情報産業内部の技術革新が、情報産業自体の拡大を促すという特殊な局面であり、情報産業は自立的成長を成し遂げているが、それはおそらくそう長くは続かないだろう。しかも、パーソナルコンピューティング、モバイル文化の消費者への拡大期と重なってしまった。
ハイテク株が調整色を強めている。今回の情報産業の自立的成長局面は情報化投資のコーポレートニーズとパソコンの個人への爆発的普及の結合がもたらしたもので、本当に自立的成長であるかどうかも怪しいが、既に後者のパーソナルニーズは普及の一巡から変調をきたしている。
今回の変調が、季節要因だけなのか、それとも本当の調整が紛れ込んでいるのか見極める必要がありそうだ。



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