#65 日立の誇る最新鋭原子炉ABWRの安全性に疑問A


世界初の商用型「改良型沸騰水炉」を採用した東電柏崎刈羽原発6号機が昨年8月24日午後5時15 分、手動で出力降下を開始し、25日午前10時停止した。 原子炉一次冷却水の放射性ヨウ素濃度が 上昇したことから、排気筒モニタを確認したところこちらも上昇していたので手動停止すること になったようである。今度の事故時も試験運転中であるが、2月の時と異なり、出力100%で稼働 している最中の事故であることに留意しなければならない。
・事故の問題点
●事実関係の整理
 炉水のヨウ素濃度が上昇した原因は、燃料棒の損傷で内部からヨウ素が漏えいし、冷却水中にとけ 込んでタービン建屋までいき、復水器(注1)で遊離して気体となって排気筒から放出されていったもの と考えられる。
 サンプリングにより測定された炉水のヨウ素濃度は1グラム当たり20ベクレル。燃料棒約52300本 のどれかが損傷したのだろうということで、原子炉を停止して調査する。調査は燃料を一体づつ(62本の 燃料で1体の集合体を作っていて、集合体の総数は872体)シッピング検査という漏えい検査機をセットして行う。
●ヨウ素漏れの重大性
 炉水に漏れ出た放射性ヨウ素は通常値の500倍。東電は、燃料棒にピンホールが開いたらしい、と 主張している。今年運転開始した炉の燃料棒被覆管に孔が開くとはいったいななんだ、それでも心配 いらないなどという神経はどうなっているのだといいたくなる。これぐらいの運転期間で孔があくよ うなことではおちおち寝てもいられない。こんなことでは老朽化した炉の場合は恐くてしかたがない。 もし燃料製作時に孔が開いていたのを見逃したのなら、これも大変。「日本の原発は優秀だ」などとい う強がりはすぐにでも引っ込めてもらいたいものだ。燃料棒被覆管のなかには燃料のペレット(錠剤 のような塊)が入っている。これはウラニウムと死の灰の塊、その死の灰のひとつが放射性ヨウ素。 推進側のパンレットを見ると「放射能は5重のバリアで閉じこめられている」と書いてある。その一番 内側のバリアがペレット、次が被覆管であるが、このふたつが突破されたことになる。
#66に続く (注1)復水器はタービンを回し終わった蒸気を水に戻すために海水を引き込んだパイ プの間に蒸気を通す装置で、蒸気を吸い込むために常に真空状態に保つ必要があり、内 部の気体はポンプで抽出して排気されている。 



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