証券理論においては、株式(自己資本)は、負債(他人資本)に比べてコストが高い
ことになっている。どうも、一般の方には、理解しがたいようである。特に、資金繰り
に苦しみ、無借金体質を作り上げた会社の経営者また、その従業員には、格別に理解しがたい
部分であるようだ。 ある程度の借金をし、事業拡大することは、悪いことではない。 逆に借金して、事業拡大するということは、その事業が、借入金利よりも 収益性が見こめるからであると思われる。その一方で、自己資本で事業拡大 を行う場合、実際問題として、資本コストの算出を行い、その資本コストと 事業の収益性を比較して、拡大するか否かを決定している会社は、まだまだ少ない のではないかと思われる。事業拡大にあたって、借入や社債で、資金調達 する場合の方が、意外と綿密に計画を立てて、取り組んでいる。 株主にとっても、増資で、事業拡大を行う企業よりも、他人資本で事業拡大を 行う方がメリットがあるのである。(もちろん、収益が調達コストを上回ることが 前提であるが。)
今、全くうりふたつの企業、A社とB社があったとしよう。
両社とも10%の自己資本利益率で、100億円(50円額面:発行株式数2億株)の自己資本
である(ってことは、10億円の税引後利益ってことである)。
これらの企業が社債を3%の金利で発行できるとする。
そして、事業拡大のためにあと50億円必要になったとする。この事業の収益性は50億円の
投資で、税引後で年5億円とする。 |
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