Mail#88 アナリスト


旧正月 明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

 株式市場が好調である。 私はペンネームのとおり、定職につくことなく、いろいろな業務に携わっている。 今はある組織の中で、部門間の調整という厄介なことに関っているペーペーである。 そして、今年も既に次の職が待っている。スペシャリティが求められる時代に、 何のノウハウも蓄積することなく、職を転々としている。恐ろしいことである。
 さて、私もかつてアナリストと呼ばれていたことがある。そして、ボブベックさん と知り合いになり、寄稿を頼まれたのもその時代である。せめて、その時に、アナリスト の検定会員の資格でも取っておけばよかったのだが。
 先日、知り合いのIR担当者と話すことがあった。最近、株式市場の上昇とともに、 やはり、投資家からの問い合わせが増加しているという。彼曰く、アナリストをその 所属組織で判断するのはどうかと思うが、やはり大手や外資系に比べるとアナリスト の質は歴然としているという。もちろんアナリストではなく、直接、ファンドマネー ジャーが訪問することもあるという。
 彼が出会った最悪のアナリストは、まず有価証券報告書を持参していながら、見れ ば分かることを質問する。確認ならばまだ良いのだが、どう考えて見ても、質問の内 容からは読んでいるとは思えない。そして、説明会等の常連にもかかわらず、全然、 その会社について理解していない。おまけに、そんな状態で顧客に推奨レポートを書 いているというのだ。もちろん、IRで忙しい彼としては、投資家への開示義務から ひきつり笑顔で応対していたが、内心はぶち切れる寸前だったという。
 この話を聞き、アナリスト時代にあったいろいろなIR担当者が目に浮かんだ。私 は基本的には有価証券報告者は、隅々にまで目を通していき、なるべく1時間以内の 取材に終わらせるようにしていたが、今思うと随分、迷惑をかけたかもしれないと反 省している。
 私自身、似たような体験がある。今、株式市場では知らぬ者がいないと思うが、京 都にある狂ったように働く社長が率いる電機部品メーカーに、運よく取材できた時の ことである。ここは、その当時、取材を受け付けないことで有名だったのである。
 当時は、まだ3000円台だったと思う。もう、ほぼ買い推奨することを決めて、 取材に行ったが、電波新聞などの業界紙などに報道された内容ばかりを質問してしま い、「新聞に載ってるでしょう。」と不機嫌に回答された想いでがある。新聞記事な どのメディアの事前チェックも必要と酷く反省した。午後2時からの取材だったが、 3時の休憩が終わると、一方的に取材を打ちきられてしまった。前述の彼も、あまり にも細かい質問するので、これを一回だけ、やったことがあると言っていた。その後、 その会社はM&Aで有名となり、IRの体制もかなり充実した。今は社長がみずから IRを行っている。
 いずれにせよ、投資家の立場は、調査対象となる企業よりも強いことは確かである が、投資家やアナリストも取材の前には、せめて有価証券報告書くらいは目を通して いくことが礼儀ではないかと思う。




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