Mail#43 石油


 原油価格が反騰している。 昨年末には1バレール10$までに低落し、世界の石油産業にリストラチャリングと 企業合併の嵐が吹き荒れた。その中で旧スタンダードグループの集結がすすんでいる。

 原油市場では、生産量の何十倍あるいはそれ以上の量の石油が現物の取引を伴わずに 取引されている。投機家は政治情勢、気象状況などを理由に激しく売り買いする。 そして、原油価格の安定を最も求める利用者や消費者の生活を脅かすのである。

   日本も原油価格の変動から身を守るために、原子力という廃棄物問題にめどがたたない リスキーな未成熟な代替エネルギーの導入に邁進した。これはある程度、国益として仕方の ない部分であった。  (しかし、その過程で、巨大な利権集団が形成され、有望な代替エネルギーが登場しても 原発にこだわっている。原子力につぎ込む税金を他の代替エネルギー開発につぎ込もうとは していない。新エネルギー開発にまわされている税金は、原子力に使われている金に比べれば ジェスチャー程度にしかすぎない。このままでは、新しいエネルギーのデファクトをまた 海外勢に押さえられてしまうであろう。現に原子力とて燃料や処理を海外に頼らざるを得ない。)
 一部には、日本の原発推進は、覇権国家アメリカの意思に逆らうものであるという意見もある。 確かに、IT産業に沸くアメリカだが、近現代史を動かし、今だに巨額な資産を持つロックフェラー は石油で財を成している。

 原油が乱高下する根源的の理由は以下の四つだという。
@天然資源である原油には品質の差が少なく、どこの原油でも価格さえ下げれば市場で売ることが 可能である。従って、強引な売り手が大量にさばこうとすると、すべての原油の価格が影響を受ける ことになる。
A原油のコストとは、油田発見に要した費用、油田施設の費用、生産操業に要する費用ならびに 税金と収益の総和である。操業費はわずかであり、原油価格が低下しても、操業費以下になることはほとんどない 。また、一度開発された原油は、価格が低下しようと生産を続けるしかない。逆に生産量を増やして 経営を維持しようとすることさえありうる。
B産油国の多くは原油からの利益で国家経済を支えている。現行体制を維持するためには、原油販売 による収入は不可欠である。価格が低迷すれば、やはり量で補おうとする。一方、反体制派は、油田 操業を低下させることで、体制を揺さぶろうとする。産油国における政治的紛糾は、生産量の低下させる。
C地下の石油は、生産を温存しても品質が低下することはない。原油価格が高騰すれば、生産量を抑えて も経営が成り立つ。価格が上がれば上がるほど、量を抑える。

 石油価格の高騰は、産油者、原子力推進派、代替エネルギー開発を勢いづかせるが、 巨大な利権集団が代替エネルギー開発を阻んできた歴史は繰り返されるのだろうか? インターネットでカナダのバラード社のアニュアルレポートをダウンロードしてきた。 来世紀は、クリーンな代替エネルギーの発展を望みたいものである。




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