各企業の決算が出揃ってきたが、非常に厳しい内容が多い。
そんな中で、日本企業の生き残りを賭けた戦いが始まっている。
今までの経営は、対処療法的な西洋医学的思想で行われたきた。
代表選手としてジャストインタイムは、在庫圧縮やリードタイムの短縮手法である
が、実は下請けいじめのパワーポリティクスであるという裏面を持つ。
これらはいわば対処療法的な手法である。現在の首切りも、
リストラなどといわれているが、これは本来の事業再構築とは
違う単なる人件費の削除に過ぎず、何の創造性もない事業収縮であって
決して再構築などではない。とにかく部分最適の世界が繰り広げられて
いるが、全体的に調和が取れていない。先日、海外からのゲストを連れて
東京を案内したが、あまりにも無秩序で雑然とした日本の景色をあらためて
再認識し、うんざりしたところである。 キャッシュフローの最大化、株式時価の評価アップが経営の関心時になって きている。この目的を追求する手段として、脚光を浴びているのが、SCM(サプライ・チェーン ・マネジメント)である。これは、アメリカ生まれだが、漢方のように全体の調和を 図ることで価値を高めようする手法である。ただ当事者である企業のみならず、 顧客やサプライヤーを含めて調和を取ろうとするために、情報の同時性が 要求される。情報通信技術の発展がこれを可能している。 (SCMをここで説明するには、あまりにも大変である。詳しくは 福島氏が書かれている「サプライチェーン経営革命」を参照してください。) 昨年、その存在さえあまり知られていなかったが、今年は一変、各社が一斉に SCMの導入に取り組んでいる。松下、三洋電機、シャープなどである。 また、三井、三菱、住友、伊藤忠などの大手商社は生き残りを賭けて サプライ・チェーン・インフラ・プロバイダーへの転身を図ろうとしている。 かつて日本において、これほどまでに大企業が導入を図ろうとしてる経営手法 はなかったという。しかし、その一方で、非常に導入は難しい。 導入にあたっては、まずビジネスモデルのプランニングが必修となるからである。 その次ぎには、全体を見渡せる人材が必要となる。つまり有能なオーナー経営者 を頂く会社には有利な手法である。 日本で、このビジネスモデルを確立している代表企業がソニーである。ソニーは、 ビジネスモデルのプランニングばかりを専門にしている課長クラス の人間を置いている日本でも非常に稀有な存在なのである。
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