Mail#45 分散


情報処理の世界では、メインフレーム中心の中央集権型から 急速に分散処理の世界へ移行した。
約1年前、エネルギー分野でも、同じことが起きると思うと ある会合で、プレゼンテーションをした。 その時は時間の都合で、その分散型のエネルギー源として 太陽電池をあげた。事実、NTTでは太陽電池を通信機器の 電源にしようと積極的である。(NTTはなんだかいっても、 加入者系の電話線を、新規加入者に有料で開放している。 その点、電力会社は、電灯線に至る電力線を開放しようとはしない。 これこそ、独占である。) さて、2月9日には日経より以下の記事がリリースされた。
・21世紀勝者の条件「公益」の市場開放(朝刊・一面)
・原発運転、60年可能に(朝刊・社会面)
・燃料電池普及へ動き活発(夕刊・一面)
原発というオンボロ・メインフレームの延命と、燃料電池やマイクロタービンという 高価格高性能のパーソナルコンピュータの登場が一日のうちに報道された。
それぞれ、簡単に記事をコメントする。いつまで、トイレなきマンションである原発 を運転させつづけるのかという我々に決定権は、残念ながらない状態である。 あとは資本市場の原理で葬ってもうらうしかない。今のところ、原子力の発電コスト が正確に把握されているとは思えない。しかし、ゴミの有料化が始り、投資において 廃却コストも考えなくなってきた現在、原子力の割高さに日本人が気づく日がくると信じたい。

◎「マイクロタービン」〜電気モーターに「ミニ火力発電機」を組み合わせた動力源 を積んだバスが、現在、米国テネシー州チャタヌーグ市で、電気を起こしながら 走っている。窒素酸化物の発生も極めて低い。これを、応用して開発されたのがマイクロ タービンであり、キャプストーン・タービン社が開発し、昨年上市された。 燃料は天然ガスで、まだ、量産効果が得られないため、まとめ買いで1台25K$(約290万円)。 同社の試算では、中国三峡ダム(総工費69000億円、総出力800万キロワット)を作らずに 、マイクロタービンを64万台使えば、6分の1の費用で済むという。 電力料金の半分は送・変電網の建設・維持費といわれており、同じ燃料を使う巨大発電所よりも コストは安い。

◎原子力発電所の延命〜資源エネルギー庁は、敦賀1号機(1970年〜)、美浜1号機(1970年〜)、 福島1号機(1971年〜)についての60年運転可能と、身内である原子力安全委員会に報告 した。米国は40年運転で、申請によって20年延長可能(フランスでは40年以上の安全運転は 可能との見解が出ている。フランスの場合、原子力自体、国家事業なので、フランスの言うことは あてにならない。なぜか、チェルノブイリ事故の時も、フランスには放射能塵が降らなかった。 スペインには降ったのに。)だが、実際に30年以上動いている原発はごくわずか。米国では40年を待たずに閉鎖・解体が始まっている。

◎燃料電池〜環境に優しく、発電効率も高いがコストの高さから普及が遅れている。しかし、三菱電機、富士電機、東芝といったメーカー が将来をにらんで、病院や工場などの補助電源として注力していく模様である。 普及を図るのはリン酸型と呼ばれる据え置き型の燃料電池。 三菱は、従来1キロワット当り設置コスト60万円前後だったものを45万円程度に下げ、2001年度から出荷。 富士電機は、1キロワット当り設置コスト40万円のものを開発し、2001年度から出荷。

20世紀は、人類の累積消費エネルギーの大半を使った世紀だったと言われている。 21世紀は、ぜひまともなマスコミを育てるためにも電力会社の独占を崩すようなエネルギー革命が待たれる。




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