MAIL#18 個人投資家と半導体業界


 アドバンテスト、三井ハイテック、新光電気工業、TOWA、新川など100株単位の銘柄も多く、個人投資家には魅力的な半導体製造装置業界であるが、1998年の業界の売上はワールドワイドで、2〜3割減となる模様である。
 半導体業界はかなり深刻な生産過剰にある。需要以上に生産能力が拡大している。 日本経済は、生産能力の縮小以上に需要が縮小しているような状態だから、半導体業界もこのような状況になると恐ろしいが、半導体の場合、その可能性は少なかろう。半導体の恩恵を蒙っている人々はまだ全世界の数割なのである。
 とは、いっても、目先は当分、良い話はない。半導体業界は過剰な生産キャパシティーを抱えており、業界全体の生産ラインの稼働率は、昨年10月の91%から78%に低下している。特にDRAM分野ではチップシュリンク(デザインルールの微細化によるチップ面積の縮小)より、1ウェハあたりの生産個数が増加し、状況の改善は難しい。米国経済拡大期に半導体業界が不振をこうむるのは極めた稀(初めてという説もある)である。
 Dataquestは、1999年の半導体産業での世界的な設備投資支出は1998年度の316億ドルからわずかながら増加し330億ドルになるとの予測している(ウェハ製造装置への支出だけでも1998年の167億ドルから172億ドルに増加する見込み)。ちなみに1997年の世界的な設備投資は、IC産業で405億ドル(うち半導体製造装置産業:202億ドル)で、半導体業界が最盛期に見せた成長率を取り戻すことは当分難しい。
 半導体業界の鍵を握るのは、IC需要の約3分の1を占めるパソコンである。PC業界が今後の半導体需要を喚起するには、約20%の成長が必要とされるとしている。
 半導体製造機器メーカーは、1000ドルPCの台頭により業績が悪化。顧客であるチップメーカーはコスト削減を余儀なくされ、一部DRAMメーカーの場合は、PCメーカー各社がコンポーネントの価格を押し下げるため、事業からの撤退を強いられる。Twinstar(H製作所とTIの合弁)とSiemensが主要工場を閉鎖したが、需給のバランス回復にはさらに5つの工場閉鎖が必要になると言われている。過剰な生産キャパシティがDRAMサプライヤーの間で解消されれば、半導体業界は回復すると考えられており、 先進的な製造装置を必要とする銅チップへの移行が利益をもたらすと考えている。
 ただ、電話通信分野は需要の約2割弱を占めており、今後大きな成長が期待できる模様。TVのPC化を促すデジタル地上波放送もイギリスで始まるなど他のアプリケーション技術の状況を眺めることも必要である。



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