#3-6 垂直と水平


最近、読んだ開銀のレポートを非常に短くまとめた。
企業の形態は部品から最終製品まで手がける垂直的なものと、各レベルに専業特化した企業群からなる水平的な形態に分けられる。垂直型と水平型のいずれが有利であるかは、市場の 環境による。製品が標準品であれば、取引の相手を探したり、製品の情報を伝達したりするコストは小さい。この場合は、組織よりも市場を介したほうがスケールメリットが働く ため、水平型が有利となる。一方、市場の環境が不確実である場合には、頻繁なコミュニケーションが必要なため、市場を介するよりも、垂直型の組織の方が有利となる。
 オイルショックによってコスト競争力を失いつつあった日本企業は、低価格標準品の大量生産から、市場の環境が不確実な多品種少量生産への転換を強いられた。下請けを含んだ大規模な垂直二統合が有効に機能した。また、新製品への激しい追随競争が生まれ、技術革新が加速された。垂直統合が不利になる点としては、市場が細分化されて棲み分けが成立し競 争が減少するケースと、追随競争が最終的には同質化を招き、イノベーションが阻害されるケースが考えられる。 標準的な製品が中心となる場合は、分業によるスケールメリットの追求が可能であり、 その結果水平型の企業が支配的になる。
水平型が有利な産業にはパソコンがあり、代表的な企業であるインテルが君臨している。
一方、まだ揺籃期であるデジタル情報機器は、垂直型の日本企業に有利である。そして、このデジタル情報機器の普及がもっとも進んでいるのも日本である。



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