#2-23 料金


電気料金のような公共料金の決め方には、積み上げ方式とレートベース方式という2つの方式があります。
積み上げ方式は、かかる費用を積み上げて料金に反映させる方式であり、放漫経営を招きやすいため、日本では電力料金 はレートベース方式が採用されています。
レートベース方式では次の算式により、電力単価が計算され、電力料金に反映されます。
総括原価=適正事業報酬+適正原価
総括原価÷販売予定電力料=電力単価(円/Kwh)
レートベース方式では、まず「総括原価」というものを決定します。最近では、総括原価の計算期間を向こう1年間としているようです。 総括原価は、適正原価と事業報酬という大きく2つのものに分けられます。
適正原価とは、発電にかかわる人件費、燃料費、修繕費(原発の1回の定期検査で50〜60億円かかる。)、諸税、減価償却費などです。1989年3月まではやや需要抑制の意味もあり、適正原価の修繕費や減価償却費については認定が厳しかったのですが、その後は、大盤振る舞いが認められるようになりました。
適正事業報酬というのがくせものであります。発電、送電、変電、配電および営業用の施設、運転資本などの合計額がレートベース資産とされ、レートベース資産の帳簿価格の5.25%(平成8年に7.2%から引き下げられた)が事業報酬として認められるのです。
荒っぽい言い方をすると、1基3000〜4000億円の原発を建てると年間200億円前後の利益が黙っていてもころがりこんでくるのです。しかし、これでは電力会社は発電設備を持ちたがりますので、レートベース資産は年1回は使わなければ認められません。つまり、夏のピーク時の需要に合わせて、最大限の設備投資を行う意欲が起ります。 調達金利が7.2%を超えなければ、電力会社は借金しまくれるのです。しかも、電力会社の設備投資は巨額であり、産業界に対しても、絶大なる発言力を有しています。 株式上場こそしていますが、こんなのは民間の企業と言えるのでしょうか。
事業報酬は発電方法によって決定的な差がついています。原子力発電に有利な構造になっているのです。 先進国では、経済的に割りに合わないということで、原子力発電は後退していますが、日本では、電力会社が原子力発電をしたがるように制度が組まれているのです。日本でも他国同様、経済的に割に合わない発電方法であるのは間違いないのです。
原子力発電では、危険は国民に、利益はM重工業、H製作所、T芝、大手ゼネコン、地元の政治家などに流れ、超ど級の不良債権である使用済み核燃料が残るのです。



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