★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ ★★★★  投資信託入門 その11  ★★★★ ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ 今回は、投信の分配金と税制について、解説したいと思います。 まず、追加型投資信託(オープン型投信)の分配金と税制についてお 話ししましょう。オープン型投信の分配金には普通分配金と特別分 配金の2種類があります。普通分配金とは、そのファンドが実際に 収益をあげた、つまり、投資対象の値上がりなどによって、ファン ドの資産を増やしたことで、その収益を受益者(投資家)に分配する ためのものであります。これに対して、特別分配金はたこ足の分配 金であり、そのファンドが実際に稼いだ収益ではありません。では 何故このような制度があるのかと言うことについて、例を用いて説 明しましょう。 ここに10億円の資産のファンドがあるとします。基準価額は10,000 円です。これが投資対象の値上がりによって11,000円になったとし ましょう。資産は11億円に増えています。儲けた利益は1億円です ね。ここで、分配金を出そうと考えた場合収益の1億円を分配する ことが出来ます。一口当たりに計算し直すと1,000円分ですね。しか し、ここで、ファンドに99億円のお金が流入したとしましょう。言 い換えると11,000円の基準価額で99億円を出してこのファンドを購 入した顧客がいたとします。資産は11億円+99億円で110億円になり ました。しかし、このファンドが実際に上げた収益は1億円のまま ですよね。この段階で、実施に上げた収益しか分配できないとした ならば、1億円を110億円の資産で分けなければなりません。一口当 たりに計算し直すと、100円です。99億円の資産が流入しなければ、 最初の10億円の時にファンドを保有していた人は1,000円の分配金を もらえたはずなのに、99億円の資産が流入したために、最初からファ ンドを保有していた人も、100円しか分配金をもらえなくなってしま います。これでは、受益者間に不公平が生じます。そこで、11億円 の資産で、1億円がファンドが上げた収益であった場合に、99億円 の資産が流入してきたときには、このうちの9億円を、ファンドが 上げた収益と同じように見なすのです。もともとの11億円のうち、 1億円を収益分配金として分配できるのなら、後から流入してきた 99億円のうちの9億円も収益分配金として分配できるということで す。つまり合計された資産110億円のうち、10億円が分配金として受 益者に分配することが出来るわけです。この場合に最初の1億円の 方を普通分配金、後者の9億円の方を特別分配金と言います。(上記 の例では平均信託金とか売買基準価額の考え方を省略しております ので実際はもっと複雑になります。)これを、一口当たりに直すと、 1,000円の分配金のうち、100円が普通分配金、900円が特別分配金と なります。 次にこの場合の税制ですが、普通分配金は当然20%の源泉徴収で税金 がかかります。しかし、特別分配金は上で説明したように単なるたこ 足配当ですから、ファンドが稼ぎ出した収益ではありません。という ことは、税金がかからないと言うことです。つまり、上の例で言えば 1,000円の分配金のうち、普通分配金の100円には20%の税金(20円です ね)が徴収されますが、特別分配金の900円には税金がかかりません。 合計すると、1,000円の分配金のうち税金は20円、手取りは980円と言 うことになります。 ちなみに、分配金が出ると基準価額は値下がりします。基準価額はフ ァンドの純資産を口数で割って求められますから、分配金として、フ ァンドの外部に資金が流出すると基準価額が値下がりするというのは 理解できると思います。基準価額は分配金の分だけ、つまり上の例で 言うと11,000円の基準価額に対して1,000円が分配金として分配された のなら、1,000円値下がりし、基準価額は10,000円となります。その際 に、売買基準価額は手取りの分配金の額だけ、つまり上の例で言うと、 980円、そして、平均信託金は特別分配金の分だけ、同じく上の例では 900円の値下がりとなります。 次回は、値上がり益に対する税金と単位型に関する分配金の考え方を解 説したいと思います。