★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ ★★★★  投資信託入門 その10  ★★★★ ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ 今回は海外への投資を行うファンドについて、その注意点をご説明 したいと思います。特に海外とは時差がありますので、これを注意 しないと、思っても見なかった高値でファンドを購入したり、安値 で、売却してしまうことになってしまいます。 まず、言葉の使い方ですが、ここで解説する外国投信とは、日本で 免許を受けた投信会社が、大蔵省から認可を受けて設定する海外の 株式や債券に投資するファンドの事を言います。募集は全て円で行 います。基準価額も全て円建てです。 普通、投信の基準価額は当日の引値を元に計算されます。4月1日 (火)の基準価額は、4月1日(火)の引値を使います。ところがNY では、まだその時間帯には3月31日(月)ですよね。 ×を3月31日(月)、○を4月1日(火)、●を4月2日(水)、□を4 月3日(木)として、図にすると 日本 ×○○○○○○○○○●●●●●●●●●□□□□□□□□ 香港 ××○○○○○○○○○●●●●●●●●●□□□□□□□ 英国 ××××○○○○○○○○○●●●●●●●●●□□□□□ NY ×××××××○○○○○○○○○●●●●●●●●●□□ こんな感じでしょうか。 つまり、4月1日の基準価額を計算する際に、NY、ロンドンの株 価も4月1日の引値を利用しようとすると、4月2日の朝の新聞に は間に合わないのですよ。 そこで、投信の基準価額の計算の際には、海外資産に関しては、前 日の価格を利用することになります。つまり、4月1日の基準価額 を計算する際には、海外資産に関しては、3月31日の引値、4月2 日の基準価額を計算する際には4月1日の引値を利用すると言うわ けです。つまり、3月31日のNYの株の引値は日本時間では4月1 日の朝に分かりますので、これを、4月1日の基準価額を計算する 際に反映させるわけです。 ところが、このような計算方法を採ると、問題が生じてきます。つ まり、NYやロンドンに関しては、これで何も問題はないのですが 香港やシンガポールなどの東南アジアの株式はどうするのかという 問題です。上の図を見ても分かるように、日本と東南アジアではほ とんど時差がありません。 4月1日(火)の基準価額を計算する際に3月31日(月)の引値の株 価を利用すると言うことは、東南アジアの株式や債券の場合、上昇 しているのが分かっていて、昨日の値段で買うことが出来る。また は、下落しているのが分かっていて、昨日の値段で売ることが出来 る。という、投資家にとってはとっても美味しい状況になるのです。 実際、東南アジアの株が急騰した93年頃には、こういった売買が大 流行でした。その結果香港株が急落したときに一気に資金が流出し、 解約しなかったごく僅かの投資家が、解約した大量の資金の損失分 と売却手数料を負担する結果になってしまい、基準価額が一日で半 分以下になったのでした。(もっと笑ったのは、これだけ下がったと いう事は、同じだけ指数が上がったときには同じだけ基準価額も上 がるのか?そうであれば、是非買いたい、という問い合わせが結構 あったのです。如何に投資信託の投資家がボラティリティを望んで いるかという事が如実に現れていると思います。投信とはボラティ リティを引き下げるために分散投資をしているんですけどねぇ・・。) 現在はこうした結果を反省し、海外に投資するファンドに関しては、 明日の基準価額で売買すると言うことになっています。つまり、4 月1日(火)に、ファンドを買い付け(売り付け)ると、4月2日(水) の基準価額で売買が行われるということです。 そうすると、NY株式に投資するファンドを買い付ける場合、4月1 日(火)に申し込むと4月2日(水)の基準価額で購入することになりま す。4月2日(水)の基準価額はNY時間の4月1日(火)の引値、つま り、日本時間では4月2日(火)の朝に分かる株で計算されますから、 逆に言うと、申し込んだ日の翌日の株価で購入すると言うことです。 ただし、中には日本株と外国株式を購入するようなファンドもありま すので、一概には言えないものもあります。不安に思ったら、是非 受益証券説明書をお読み下さい。 非常にこんがらがった説明でお分かり頂けたかどうか不安ですが、 今回は以上で終わります。 次回は、どういったことを解説しましょうかね・・・。