★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ ★★★★  投資信託入門 その5  ★★★★ ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ 今回は、先ず前回の続きとして、債券のディフォルトリスクについてお話しした後、 RR4、RR5のファンドについて解説したいと思います。 <債券のディフォルトリスクについて  興味のない方は読み飛ばして下さい。> 過去日本では、債券がディフォルトするなんて考えられませんでした。ディフォルト というのは利子や元本が支払われないと言うことです。無い袖は振れないですからねぇ。 しかし世界に目を向けてみると、過去にディフォルトに陥った債券はたくさんあります。 ニューヨーク市が発行した債券がディフォルトになったこともありますし、昨年は、 米国の国債がディフォルトになるのではないかと懸念された時期もありました。(一昨 年だったかな?)ディフォルトになる理由は色々あります。企業などでは、収益が上が らなくなって支払うための資金を拠出できない、または、銀行が貸してくれなくなった。 という場合が多いと思いますが、国債の場合では政権が変わって、支払う意志を なくすということもあります。そういった、ディフォルトのリスクをあらわすのに レーティングがあります。日経新聞でも企業の業績の欄に、AAAとかBB-とか書いてあ る欄があると思います。これがレーティングです。レーティングは一番良いのが AAA、次がAA A BBB BB・・・となります、レーティングを発表している会社によって 多少の差はありますが大体こんな感じです。そして、BBB(トリプルB)以上を、 Investment grade、つまり、投資適格債券と言います。それ以下はジャンク債ですね。 ですから、BB以下の債券は投資するのに慎重に検討した方が良いよという意味です。 現在、たくさんの外債が日本で発行されておりますが、中にはこういった、ディフォル トリスクの高い債券も紛れ込んでいますので、十分ご留意された方が宜しいかと思いま す。個人的な感想ですが、最近外債投資をされる方は為替のリスクは認識されている方 が多いようですが、この、ディフォルトリスクに関しては無頓着な方が多いように思い ます。で、米国ではこういったBB以下の債券(ジャンク債)への投資は危険が大きいこと からポートフォリオを組んで投資する、つまり分散投資で、ジャンク債の利回りの高さを 享受しようと言う考え方が根付いております。 ちなみに、ジャンク債の値動きは、金利の動きよりも、業績の動きに左右されます。 つまり、ディフォルトリスクの分だけ高い利回りで取引されておりますので、業績が良 くなることで、そのディフォルトリスクが低くなると考え、株と同様に債券も買われる わけです。 日本でも、今後、こういった地方債や社債、モーゲージ証券(家のローンを証券化した物)、 などの取引が厚みを増してくるようになるでしょう。そうすると、そのディフォルトリス クは国債に比べ格段に大きいわけですが、その分利回りも高いですから、分散投資を して、これらの債券の利回りの高さを享受していこう、という動きが出てくることでしょ う。その時には、投資信託の中でもRR3に多分分類されるだろうと思われる、そのよ うなファンドもパフォーマンスに広がりが出てくる物と思われます。 (4)RR4・・値上がり益追求型→値上がり益の追求を目標として、株式を中    心に運用するファンドですが、一方で大きな値下がりのリスクがあります。    具体的にはほとんどの株式型投資信託(株式の組入比率の上限が100%のも    の)はここに分類されます  まぁ、ほとんどの株式投資信託はここに分類されますね。種類も豊富にありますし、 パフォーマンスも会社によって、また、ファンドの運用方針によってまちまちです。 個人的にはある特定の業種に投資するファンドもここに分類するのは間違っていると 思うんですけどね。ある特定の業種、つまり、金融とか電気機器等に投資対象を絞る 場合、分散投資によるリスク軽減効果は薄れるのですから、RR5に分類すべきだと、 思いませんか?  それと、株式投資信託の運用にはアクティブ型とシステム型の運用がありますので、 これについて少々解説いたします。本来投資の先進国である、欧米では、アクティブと システムという運用の分類はしません。アクティブとパッシブという分類で、運用手 法を区別します。その際のアクティブとパッシブの違いは、銘柄の入れ替えを行うか どうかです。ポートフォリオを構成する銘柄を入れ替えることで、インデックスを 上回ることが出来ると考える運用法方をアクティブと言い、結局銘柄を入れ替えるこ とでインデックスを上回ることは出来ない。コストの影響が大きいし、その上、常に 当て続けることなど不可能なのだから、余計なことをしてファンドを傷つけるよりは、 銘柄の入れ替えをせずに、じっと同じポートフォリを続けることこそ、より大きい パフォーマンスを得ることが出来ると考えるのがパッシブ運用です。インデックス運 用がその典型ですね。  ところが日本の場合(日本の投資信託業界という意味)、ファンドマネージャーが個人 の判断、または会社の判断で銘柄を入れ替えたり、組入比率を変更してインデックスを 上回ろうとする運用をアクティブと言い、機械的に銘柄を選択したり、コンピューター が銘柄や組入比率を決定して、運用担当者がその通りに伝票を書くような運用をシステ ム運用と使い分けています。  どちらが好パフォーマンスを上げるかという点ですが、システム型は人間のその場の 判断が入りませんので、マーケットの上昇下落に関係なく、インデックスを上回りたい と考える場合には、システム運用を選択すべきでしょう。システム型が全て、常にイン デックスを上回るわけではありませんが、確率は高くなります。ある一定の投資スタン スを続けていれば、常に儲かるわけではないけれども、ドタ感で売買するよりもその勝 率は高くなるものです。これは、個別銘柄の売買にも言えるでしょう。ただ、個人投資 家も含め、ファンドマネージャーも人の子ですから、ある投資方法を選択しても、それ が上手く行かなくなると、その投資方法は間違っているのではないかと考え、違う方法 に乗り換えてしまうんですよね。機械的に売買していれば、悩むことはないわけですか ら、上手く行かないときもその運用法方をとり続け、結果として、インデックスを上回 る事が多くなるわけです。  ただ、システム運用の決定的な、欠点は、個別銘柄の選択の際に現れます。企業業績 などのファンダメンタルを利用する場合にその数字は誰かが予測した物であるため、そ の予想数字が間違ってしまえば、システム運用の利点は生かされなくなります。低PER 銘柄に投資するというファンドがあります。過去の検証をすると低PER銘柄のポートフォ リオは常にインデックスを上回るんです。しかし、実際にそのようなポートフォリオを 組んで今後運用していくとしたら、まず、インデックス並が良いところでしょう。つま り、過去の検証をする場合には、既にEPSが分かっているわけですが、今後の運用に関し ては予測EPSを利用するしかないわけですね。で、これが全て予測可能であれば、低PER ファンドのパフォーマンスは脅威的な物になるのでしょうけれども、そんなことは不可 能だと言うわけです。組入比率の変更に関してもイールドスプレッドを使う場合には、 同じ様な失敗が予測できます。つまり、日経平均の一株利益の今期予想が最初に分かる のであれば、イールドスプレッドは組入比率を変更するのに有効な指標となるのですが、 今期の日経平均の一株利益(日経平均構成銘柄の業績と言い換えても良いです)は、終わ って見ないと分からないのです。  そういう意味で、現在TAAファンドなどが注目を浴びていますが、上記のような結果を もたらすことも考えられますので、その辺をご理解の上投資されることをお奨めいたし ます。 というわけで、長文となってしまいましたので、RR5は次回に解説することにいたし ましょう。