★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ ★★★★  投資信託入門 その1  ★★★★ ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ 普通、投資信託の解説本(これ自体、多くはないですね。)では、投信の 始まりは、英国において1868年にフォーリン&コロニアル トラストが 設定されたのを起源とし・・。と言った話が出てくるのですが、そんな 話はすっ飛ばします。 今回は、投信の仕組み、その中でも、関わっている会社について解説し てみましょう。これも、本当はすっ飛ばして、分散投資とは・・から 始めた方が早いのですが、手数料の問題(これも、投資家にとっては大き な問題だと思うのです。手数料が1%違えば、パフォーマンスが1%上回 っても、投資家の利益は同じですからねぇ。)を解説する際に重要になって きますので、我慢してお付き合い下さい。 投信の世界に出てくる会社は、@投資信託委託会社、A証券会社、B信託銀行 の3者です。これに、C投資家を合わせた4者が投資信託を構成している、 メンバーです。  @投資信託委託会社のことを委託者と呼びます。    ファンドの運用の指図を行っています。つまり、あれを買え!これを    売れ!っていう判断を行っているんです。指図と書きましたが、誰に    指図するんでしょうか?実は、信託銀行に指図しているんですね。    本来は、資金を委託しているのは投資家であって運用会社である、    投資信託会社ではないのですが、何故か投信法上、こうなってます。    昭和30年代には、証券会社の一組織だったのですが、別会社にしなさい!    と言う指導があって、昭和40年以降に次々に投信委託会社が設立されました。    しかしながら、免許制という事もあり、その後は会社数は増えなかった    のですが1990年以降、投信の規制緩和などがあって、銀行系、外資系、    生保系などの投信委託会社が次々に設立されています。今後も、    会社数は増えていくのでしょう。そうするとやっぱり、運用能力の低い    運用会社は淘汰されていくのでしょうね。  A信託銀行のことを受託者と呼びます。    投信委託会社から出された指図に従って有価証券の売買の注文をだし、    その有価証券の管理を行います。お金も信託銀行に預けられます。    ですから、投信会社の運用者は現金を目にする機会はないんですよ。    基準価額の計算もここで行います。しかしながら、実際には投信委託    会社でも、基準価額の計算は行っておりますので、これを両者で照合して    正しいかどうかを確認するわけですね。基準価額の計算というのは、    実はとっても面倒なのです。株式投信であれば、株価が分かれば    分かるじゃないかと思われるかもしれませんが、毎日、バランスシートを    作成して純資産を求め、これを口数で割って基準価額で求めるという作業    が行われているのです。ま、基準価額の計算は、後々解説する機会があると    思いますので、これくらいにしておきましょう。  B投資家のことを受益者と呼びます。    値下がりしている投資信託を保有している投資家の方から、受益者ではな    くて受損者じゃないかと、お叱りを受けたことがありますが・・・。(^_^;)    一応、これも、投信法上こう呼ぶことになってるんです。  C証券会社は販売会社ですね。    現在、投資信託を販売できるのは証券会社と、投資信託会社の,直接    販売のみになっていますけど、これも、将来は分からないですね。銀行    の窓口販売の解禁なども、新聞などでは話題になっています。早く実現    することを祈っています。     個人的には、郵便局や、コンビニ等で投信が販売できるようになれば、    随分、投信の普及が速まるのではないかと思うのですが、そこまでは、    さすがに色々問題があるのかもしれません。     米国の場合証券系の投信会社というのは少ないのですが、日本の場合、    上にも述べたように、当初は証券会社の一組織であったことから、    いろいろと弊害が指摘されています。商法上、証券会社と投資信託委託    会社は何の関係もない単なる一株主でしかないのです。子会社でも、    関連会社でもありません。しかしながら、そう言った過去の経緯から    各証券会社のグループ会社という位置づけは明確であります。    そのために、ありもしないことまで、疑われる結果となってしまってます。    これを解消するには販売チャネルの多様化が必要であることは明確であり、    これによって、投信会社の自主性というのも内外から明確に、見えてくる    のではないかと思っております。    また,投資信託会社の直接販売も投信規制の緩和で実現となりましたが,    現在はそれほど大きな流れにはなっておりません。米国では,フィディリティを    筆頭に直接販売による販売が大きな比重を占めることから,日本でも    この分野に期待する向きも多いように思えます。しかしながら、以前、    日本でも投信販売会社が大手証券会社の系列会社として営業していたも    のの,全て頓挫し,総合証券会社へと鞍替えした歴史を見ると,今現在の    税制や,投信に対する国民の認知度合いが改善しない限り,販売会社に頼る    形は変わらないと思われます。     投信会社の直接販売についても触れなければいけませんね。    投信を何故証券会社以外が販売できないかというと,有価証券の募集・販    売に関しては証券会社のみに認められると言う証取法が根拠になっており    ます。ですから、投信の販売は証券会社のみにしかできないという,表現でも    間違いではないのです。しかしながら投信会社が自分で募集し運用する投信    に関しては,その範疇に入らないわけです。ですから、投信会社が直接販売    していると言っても,他社の運用する投信に関しては販売できません。    また、逆に銀行が投信免許を取って自社で開発運用に当たる投信があったと    したら,銀行でも販売できるわけです。実際には投信法で投信委託会社の兼    営業務については厳しい規定がありますのでそう行ったことはあり得ないで    すけれども。    次回はこの4者で収益をどう分担しているのかという点について、    触れてみたいと思います。これが、ファンドの、投資家から見た短期投資、    長期投資について考える一つの判断にはなると思います。 てな訳で、第一回はこれくらいにしておきます。 一般の投資家の方が読んでも分かるものをと考えて書いてはいるのですが、 なかなか、難しいものです。分からない点はなんなりと、ご質問下さい。