委託会社が倒産した場合、ファンドに投資したお金は保全されるのでしょうか?法律的な根拠を教えて下さい。



まず、委託会社の経営が問題を生じた場合のファンドの保全に関してですが・・・。

投資信託は、投資信託法に基づいて運用されます。そしてこの投資信託法は信託法という法律に基づいて制定されております。つまり、信託法がまずは上位の法律として規定されているのです。そしてその信託法の第十五条に

信託財産の独立性
信託財産ハ受託者ノ相続財産ニ属セス

という条文があります。これによって、ファンドの資産が委託会社や信託銀行の資産と全く別のものとして、管理されている、つまり、委託会社が倒産したとしても、ファンドの資産は、委託会社の負債弁済のために使う事が出来ないことが分かります。

ただ、そうは言っても、委託会社が倒産してしまったら、自分の投資した資金が不安になるものです。そこで、委託会社の経営がどのような形で健全性を保つよう規制されているかをご説明しましょう。

投資信託法の第17条 委託会社の行為準則
2 委託会社は次に掲げる行為をしてはならない。
一.自己又はその取締役もしくは主要株主が有する有価証券を信託財産を持って取得し、または信託財産として有する有価証券をこれらの物に対して売却し若しくは貸し付けることを受託会社に指図すること。

 分かりやすく説明すると、投信会社が自ら投資した銘柄に関しては、ファンドで投資してはいけないと言うことです。この条文は投信会社がまずは自分である銘柄の株式を購入し、その後ファンドで買い上がって投信会社の利益を増やすことを規制した条文です。しかし、この条文によって、投 信会社はほとんど全ての株式を購入出来なくなっています。投信会社が独自に株式を購入した場合に、その銘柄をファンドで購入できないわけですから、ファンド運用の自由度が減少すると言うことになってしまうわけです。つまり、逆に言うと投信会社が独自に買える銘柄は、ファンドで購入 できない銘柄に限られるわけですね。

 ファンドで購入できない銘柄としては、信託会社、証券会社の株式などがあります。つまり、投信会社が業務上関係のある会社の株式をファンドで買うことは出来ないわけで、投信会社のファンドを売っている証券会社、投信会社と受託契約を結んでいる信託銀行が、その対象となります。逆に 言うと、その投信会社のファンドを売っている証券会社の株式、及び信託銀行の株式のみが、投信会社が保有する可能性のある株式となります。ただ、ファンドそのものの保有に関してはこういった規制がありません。

そして、大蔵省の通達 投資信託委託会社の業務運営について の
第1章 第四
委託会社の財務内容の健全性の観点から、株式の保有限度額は、純財産額の三十%に相当する金額の範囲内とするものとする。

という規制によって、投信会社の保有株式の総額も規定されているわけです。

株式投資への制限だけの説明では、委託会社の経営そのもののリスクを制限することになりませんから、以下の条文も解説したいと思います。

投資信託法 第18条 他業兼営の承認
委託会社は新たに信託財産に関する業務以外の業務を営もうとするときは、大蔵大臣の承認を受けなければならない。
2 大蔵大臣は委託会社が当該信託契約に関する業務以外の業務を兼ねて営むことが公益又は投資者保護のために適当でないと認めるときは、当該委託会社に通知して当該職員をして審問を行わせた後、その承認を拒否しなければならない。

大蔵省 通達 投資信託委託会社の業務運営について
第1章第一
3(1)兼業承認の対象となる業務は、当分の間、有価証券に係わる投資顧問業の規制などに関する法律第二条第二項に規定する投資顧問業及び同条第四項に規定する投資一任契約に係わる業務とする。

つまり、投信会社は、ファンドの運用、及び投資顧問業、そして投資一任業務しか、業務として行うことが出来ないのです。ですから、投信会社がファンドの運用業務以外の業務、例えば、土地を購入してゴルフ場を建設したり、マンションを建設しようと思ったけれども、バブル崩壊でおおや られしました。といったことはあり得ないんです。

以上の説明により、ファンドの選択は、運用の巧拙、及び商品性によって のみに選択の基準を置いて良いことが理解いただけると思います。


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