ちなみに、基準価額の計算のためには、毎日、貸借対照表と損益計算書が作成されています。そしてこれをもとに、純資産を計算し、口数で割って基準価額が求められるのです。ファンドを買い付けた場合には、貸借対照表の資本の項目が増加し、それと同額の「現金」と言う項目が資産の部に加わります。
そして、有価証券を購入した場合は、資産項目に有価証券が加わり、それと同額の未払い金が負債項目に発生します。受け渡しが完了した時点で、現金と未払い金が相殺されます。これをバランスシートを書いて説明しますと、
一.
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株式 10億円 I 純資産 10億円 10億円の純資産のファンドがあったとします。
口数は10万口(1口10,000円として)
二.
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現金 20億円 I 純資産 30億円 20億円のファンドの買付があったとしましょ
株式 10億円 I う。口数は30万口ですね。
三.
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現金 20億円 I 未払い金 20億円 総資産は50億円となっていますが、口数は30
株式 30億円 I 純資産 30億円 万口のままです。
四.
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株式 30億円 I 純資産 30億円 株式の受け渡しが完了した時点で未払い金と
現金が相殺されます。口数はここも30万口です。
基準価額は、純資産を口数で割って求められますから、一.〜四.までの間は、全て10,000円のままと言うことになります。つまり、ファンドの買付によって基準価額は変動しないと言うことが、お分かりいただけたでしょうか。
では基準価額は何故変動するのかというと、左側、資産の項目を毎日、時価で洗い直しているので、30億円の株式が29億5,000万円になったり、31億円になるわけです。そして、30億円との差額分が、売買損益や評価損益として、純資産に増減され、純資産の総額が変わるために、口数で割った基準価額も増減することになるのです。
そしてこれは、日本時間の夜中に取引が行われる海外への投資を行うファンドであっても、同様です。つまり海外株へ投資するファンドであっても、投資対象が夜中に取引が行われようと全く関係がありません。海外株の場合、本日の株式の時価を評価するのは昨日の引値であります。
ただし、資金流入のあったファンドは、その資金流入分で投資対象を買い付けますので、その投資対象の商いが少ない場合は、値上がりすることもあるでしょう。その結果として基準価額が上昇すると言うことは考えられますね。しかし、ブルベアなどのインデックス系ファンドはそのほとんどを先物へ投資しますので、純資産総額がべらぼうに大きくない限り、市場への影響は少ないと考えて良いと思います。