何故なら、昨年の日本の株式市場は下落基調を続けておりましたので、組入比率を低くすることで、インデックスをオーバーパフォームすることが可能になるからです。また日本の株式投信のほとんどが、解約に備えるために組入比率を高位に組み入れているものでも80〜90%程度に抑えていると思われるため、インデックスをオーバーパフォームしているだろうと予測がつくのです。
逆に、米国市場はインデックス中心に上昇が続いたため、小型株の優良銘柄をピックアップすることでインデックスをオーバーパフォームしようとする米国投信は、そのほとんどがインデックスをアンダーパフォームしているのです。これはWallStreetJounalなどでも、何度も触れられているので、確かな事実だと思われます。
つまり、株式市場が下落基調の時には、組入比率を引き下げることでインデックスをアウトパフォームすることはそう難しくないのに対し、株式市場が上昇基調の時には、組入比率を100%以上にすることは出来ないので、インデックスをアウトパフォームすることは非常に難しいのです。
次に、親会社である証券会社の手数料稼ぎのために、投信が利用されて、回転売買が行われているのではないかとのことですが、現在、そのようなことは、まず無いと考えてよろしいかと思います。パフォーマンス競争が激しくなっていることから、パフォーマンスを悪化させるような回転売買を、ファンドマネージャーがするわけがありません。ただ、短期売買の方が儲かると勘違いしているファンドマネージャーは数少なくないので、そう言った意味での短期売買が行われていることはあるかと思います。(実際、株式市場が結果的に下落基調の時は短期で損切りするファンドマネージャーの方がパフォーマンスは良くなりますよ。)また、買い付けた銘柄が期待に反した経営をしたときには、直ぐに売却した方が良いわけで、常に買った銘柄を長期で持つ方がパフォーマンスが良いとも言い切れません。あくまでも、ファンドマネージャーが受益者のためだけを考えて売買を行う、または保有を続けると判断をする事が大切なのであって、その結果が長期投資になるのか短期売買になるのかは、二の次なのではないでしょうか。
ただ、日本の株式市場が上昇基調に復したときに、現在の米国の株式投信と同じ程度のパフォーマンスをあげられるかどうかは、これからの業界の努力次第でしょう。