第一日目 LAの夕日

 車は、ハリウッドを走り抜け、今度は西へ向かった。どんどん西に向かい、周りに建物は何もなくなった。畑がずずっと連なる。ガイドブックを取り出し、位置を確認しようとしたが、ガイドブックにある地図からははみ出してしまったようだ。

 もしかして、ずっと遠くに連れてきてから、「有り金を出せ、そうしないと、ここにお前をおいて帰るぞ。」と言われるのではないかと、またまた心配になってきた。運ちゃんはその気配を感じたのか、サイドボードの中から地図をとりだし、「今走っているのは、この道路。ここから右に向かうとサンフランシスコ。我々は左に曲がって、マリブビーチに向かっている。」と言う。「ふ〜ん。」

 運ちゃんは音楽が好きならしく、自分で編集したと言ってテープをいろいろかけるのだが、その歌が結構古い。"カリフォルニアの夢"、"サウンドオブサイレンス"、"ダイアナ"・・・・・・。確かにこういう歌も好きだけどね。

 「ところで、ロスで有名な会社って何?」と聞いてみた。「うーん、ソニースタジオ。あ、あれはユニバーサルスタジオだ。」「ソニーは日本の会社だよ。」「そうかぁ。他に有名なものは、ストロベリーフィールドかな。」といって運ちゃんは、ビートルズの"フォーエバー(だったと思う。)"を歌い出した。歌詞に「ロサンゼルスのストロベリーフィールド」と出てくるのだ。そして「これが、ストロベリーフィールドだよ。」と周りを指さした。

 え。。。。。。。私は絶句してしまった。確かに、外の景色は一面畑だらけなのである。しかし、これが苺だとは全く考えもしなかった。米でも作っているのかなぁなんて気軽に考えていたのだが、確かにそういわれてみると、沿道には苺の絵の入った看板が至る所に立てかけられている。

 日本で苺というとビニルハウスでの栽培しか思い浮かばないが、ここではビニルハウスなしに広大な畑で苺が栽培されているのである。思わず写真にとってしまいました。後からこの写真を見ても単なる畑にしか見えないだろうけれどもね。

 そんな話をしているうちに、右手に海が見えてきた。マリブビーチである。夕日が海に沈んでいく。海にはイルカが泳いでいる。海面からイルカが跳ね上がるのが見えるのだ。これだけども、この運ちゃんにお願いして良かったのかもしれない。自分で移動していたら、絶対にここにはこなかったはずなのだから。

 その後、海辺のレストランで、ピザを食す。運ちゃんもレストランに着いてきて、サラダとかを頼んでいる。その上、自分が食べ終わると、娘に電話してくると言って、そそくさと店内から消えてしまった。もしかして、払いは全部俺かぁ。。。。と、また不安になる。しかし、私が店を出たときに、運ちゃんは「いくらだった?後で払うよ」と言ったのである。ガイドブックやインターネットの観光サイトを読むとだまされる話ばかりなので、どうも、人を疑う癖が抜けないが、それほどひどい人はいないのかもしれない。ちょっとだけ反省。

 店を出た後は、ベークドポテトというライブハウスに向かう。時計を見るとすでに9時を過ぎていた。

 ベークドポテトに入ると客はほとんど入っていない。何時から演奏が始まるのか聞くと「9時半から。だけど客が入ってからね。」とのこと。バドを頼み、店のTシャツを購入し、演奏が始まるのを待つ。コンサートの場合はパンフレット購入するがライブハウスの場合、パンフレットはないのでTシャツを購入することにしている。NYに行ったときも、バードランドでTシャツを購入したし、シカゴのブルース系クラブに行ったときもTシャツを購入したのだ。

 さぁ、演奏が始まるかなと期待してステージを見るが、9時半になっても10時になっても演奏が始まる気配はしない。ギタリスト二人はステージで音あわせをしているがドラムは、セッティングすらされていない。10時を大きく過ぎたときに、ドラマーが現れた。単に遅刻のようである。だらだらとセッティングを始め、時債に演奏が始まったのは10時半を過ぎたあたりからであった。

 しかし、音が出始めると、もうご機嫌のブルースである。古くさい音だけれども、ギタリストは結構ノリノリ、左手のみでメロディーをひきまくるし、キーボードも古くさい音の割には、サンプリングなんかを使って遊んでいる。べースは親指のみのオーソドックスな弾き方だ。  バンドとしてのまとまりも結構ある。後はコーラスでも絡めれば、それなりに通用しそうである。ボーカルはギター、キーボード、ドラムの3人がとっているのに、コーラスを絡めた曲は一つもなかった。思わず、ケネディハウスを思い出してしまう。

 ベークドポテトを出たのは11時過ぎ。運ちゃんに170ドル支払いホテルまで送ってもらった。最後に10ドルチップを支払うと、とても喜んでくれた。そしてホテルの外で私の姿が見えなくなるまで手を振ってくれていた。結構いい人だったのかな。



back to my homepage


WebMaster:Kimihiko Uchida bobubeck@can.bekkoame.ne.jp
or otherwise qzg00456@nifty.ne.jp
©copyright 1999 Kimihiko Uchida