5月10日
北海道出身の田舎ものである私にとっては、東京が海外みたいなものだった。何せ大学を卒業するまでに、北海道を飛び出したのは、中学と高校の修学旅行、高校の時の部活の全国大会だけだったのである。大学卒業間際に就職活動をするために上京したときは、本当に海外旅行気分だった。そんなわけであるから、当然、海外旅行など今の今までしたことがなかった。ところが、今回、社命で2週間の海外出張となったのである。みんなには羨ましがられるのだが、私にとっては、初めての海外であるから、緊張感の方が強い。一応、業界団体の研修が主目的であるから、すべて団体行動となるのだが、果たしてどうなることやら・・。毎日アップできるかどうかはわからないが、海外で感じたことなどを少しでも書き残しておきたいと思い、このコーナーに順次アップしていくこととする。
- 自宅を出発・・・飛行機の離陸は12時なのだが、成田に9時に集合ということなので、7:37日暮里発のスカイライナーに乗らなければならない。自宅を出るのは結局普段通勤する時と同じく午前6:40頃となった。数日前までは、JALのサービスでトランクを自宅から飛行場まで運んでくれるJALフライトキャディサービスというのがあるので、成田までは余裕だと思っていた。しかしながら、JALに電話すると、荷物を取りにくるのは昼間だとのこと。私のような独り者の場合、荷物を預けることが出来ない事がわかった。独身であることに普段は格別不便を感じないのだが、こういう時には妻帯者をうらやましく思う。そんな訳で、重いトランクを引きずって蒲田駅まで向かう。普段は10分で着くのだが、今日は20分かかった。その後京浜東北線で日暮里に向かう。日暮里に着いたときには7:35とスカイライナーの発車時刻ぎりぎりであった。重いトランクを引きずりながらスカイライナーの発着駅まで走っていくと、何とか間に合ったが、席に着いたときにはもう息が切れるし、左手は痛いしさんざんである。こんなことで、2週間の出張期間、体力が続くかどうか非常に不安である。
- 成田到着〜離陸まで・・・荷物を預けて待合室に移動する。そこで、旅行者の方から注意事項を聞いた後、エグゼクティブラウンジに移動する。今回の旅行はアナリスト協会の主催であるので、証券関係者が多いのだが、全くの同業者は一人だけである。その方と現在の投信事情について話をする。内容はスポットファンドの運用についてである。スポットファンドの運用目的はオープンファンドとは違うはずだから、当然、運用結果に対する評価の仕方も変えるべきではないかという結論に至った。なんで、こんな時にこんな話になるのか不思議ではあるが、やはり、頭の中はお互い、ファンドのことで一杯なのである。白熱した意見交換が続くうちに、出発時刻となり、JAL20便に搭乗する。
- 成田〜アトランタまでの機中
- ビジネスクラスは座席がゆったりとしている。その上、右側の肘掛けのところを開けてみると、なんと液晶テレビがでてきた。ミュージックビデオや映画が見られるようになっている。当然、ミュージックビデオのチャンネルを選択したが、普段通り、ほとんど画面を見ずに、本を読んでいた。ジョージソロスの「ソロスの錬金術」という本である。ちょっと古い本だし、話題になった本なので読んだことのある方も多いと思うが、ちょっと厚い本なので、私の場合、いつの間にか「つんどく」になっていたのである。翻訳本は読みにくいというのも、「つんどく」が解消されなかった理由だろう。せっかく時間があるのでと思い、今回持参した。読んでみると結構面白い。色々と得ることもあったが、そのうちに、どこかのコーナーでまとめてみようと思う。それにしても、翻訳はもっと業界用語のことを調べて書いてもらいたい。Cyclical stockは周期株と訳すよりも景気循環株と訳すべきだし、Portfolio insuranseはポートフォリオ保険ではなく、PI運用、または順バリシステムとでも訳した方が良いのではないだろうか。
- 初めての海外旅行なのであるから、当然初めての国際線である。今までは、飛行機で食事を食べたことがなかったのである。であるからして、食事のメニューを渡された時にはちょっとだけびびってしまった。和食と洋食のメニューが書いてあるが、選択制なのか、それとも、便によってどちらかになるのかがわからない。そうこうしているうちに、
スチュワーデスが「洋食にしますか?それとも和食にしますか?」と、聞いてきた。体重が気になる私は、和食と答えたのだが、スチュワーデスはライスが食べたくて和食を選択したと思ったようだ。洋食でもご飯を選択できますよ。というのである。意志の弱い私は、それでは洋食と答えてしまった。その上、魚と肉とどちらにするかと聞くのである。当然魚である。しかし!肉の方がボリュームがありますしお若い方には・・・。といわれて思わず、肉と答えてしまった。あぁぁぁ。(T_T)その上運ばれてきた食事はいかにも
電子レンジで暖めましたというような、皿まで暖かい食事である、。隣に座っているおっさんは和食を選択したようだ。うぅぅむ。洋食より美味そうだ。夕食のメニューはやはり和食にしよう。
- その後、お休みの時間である。隣のおっさんも、通路の反対側に座っているおっさんも寝てしまったようだ。乗り物で眠ることの出来ない私は、持参したジョージソロスの本の続きを読むことにする。しかしながら、今や、飛行機の中でゲームが出来る時代なのである。まぁ、飛行機の中でRPGをやるわけにはいかないだろうから、私はゲームをしようとは思わないが、本当に至れり尽くせりである。
- そうこうしているうちに、なんとなくお腹の調子が悪くなった。ほっといていたら、冷や汗がでてきた。ま、まずいと思ってトイレに駆け込むと、冷や汗が脂汗に変わった。どうも、酔ったようである。お酒の酔いではなく、乗り物酔いである。ここ数十年間経験がなかったことである。トイレの中で30分ほど悶絶した。少し楽になったので席に戻ってスチュワーデスに酔い止めの薬をお願いする。日本人ではなかったので、「酔い止め」という言葉がわからないらしい。なんども「酔いどれ?」と聞き直す。俺は酔いどれではない!その後日本人のスチュワーデスがきてくれて、胃薬と頭痛薬をもらった。これを飲んで、目をつぶっていたら、多少楽になった。
- 夕御飯の時間になった。昼食の時に決意したとおり「和食!」と叫ぶ。今日は鰻丼となっていたので期待したのだが、でてきたものは、電子レンジで暖めた堅いご飯の上に鰻の細切れが二切れ乗っていただけだった。しかし、キウイジュースは結構おいしかった。
- ソロスの本を引き続き読んでいると、到着時間になった。約一時間、飛行機の中に閉じこめられていたわけである。ビジネスクラスだったら、まず我慢できなかっただろう。
- アトランタ空港で・・・現地時間で11:15に着いたのだが、乗り換えのニューオリンズ行きの便はなんと15:50発である。空港内で約4時間半もなにをすればよいのだろう・・・・。しかしながら、空港内の売店でいろいろ見ていると結構時間はたつものである。まず、ラウンジみたいなところでヨーグルトを買った。日本のヨーグルトと違い、ソフトクリームのことのようである。初めてのドルベースでの買い物となった。1.98$と書いてあるので、1$紙幣を2枚差し出すと、2.08$だと言われた。消費税が5%かかっているのである。普段、日本では消費税に対しては必要なものであるとの認識をしているので格別拒否反応はないのであるが、このときはさすがに、消費税反対と心の中で叫んでしまった。
- アトランタ〜ニューオリンズへ・・・デルタ航空でニューオリンズに向かう。疲れ切っていたので、乗り物の中ではなかなか寝付けない私も、うとうととしてしまう。そろそろ着陸するとのアナウンスで外を見てみると、湿地帯が広がっており、どこに家があるのだろうという感じだ。どうも、ニューオリンズというのは相当な田舎町のようである。そう考えると、アトランタ空港で4時間以上も待たされたことも合点がいく。要はニューオリンズという街はアメリカの田舎町、陸の孤島といったところなのであろう。
- 空港〜ホテルへ・・・空港に着くと、出口のところにきれいな女性がたくさん出迎えに来ていた。我々の出迎えかと思ったが、どうもちがう。陸軍の兵士が兵役を終わって帰ってきたところらしく、その出迎えの人たちだったようだ。それにしても、こんなにきれいな人がいるくらいだから、ニューオリンズので4日間は楽しいものになりそうだ。ホテルへのバスの中で、ニューオリンズの街について、旅行社の方から解説があった。その話を簡単にまとめてみよう。『@ニューオリンズは日本人が非常に少ない街で、全部で100人程度。ここに進出している日本企業も少なく、大きいところでは全農くらい。Aニューオリンズは105万人程度の都市でそのうち、55万人が都市部で生活している。(空港に着いたときに思ったよりも、大きい街のようである。)そのうち6割が黒人である。B消費税は9%だが、外国人旅行者の場合はレシートを持っていくと空港で払い戻してくれるらしい。(これは非常に合理的だと感じる。その街のインフラ整備のための税金は、そこにすんでいる人たちに還元されているのだから、当然旅行者から消費税をとるのはおかしいのである。)Cニューオリンズは湿地帯が多く、ここでとれるザリガニを使った料理が有名である。Dニューオリンズはアメリカの中のヨーロッパといわれ、フランスやスペインの植民地であった時代が長かった。クレオールという言葉はスペインの子孫という意味だそうだ。Eルイ14世の時代にスペインからこの土地を買ったフランスがルイジアナと名付けた。』
- ホテルについて荷物を整理し、夕食となった。ルイジアナのデキシーというビールで乾杯し、ステーキをぱくつく。このデキシーは、多少酸味があってなかなか美味である。ただ食い物の方は量が多くその上味が濃い。こんなものをずっと食っていたら、体重が二倍くらいになりそうである。そう思いながら、ビールをお代わりし、ステーキをたいらげた。その後部屋に戻り、パソコンをセットして、就寝。明日からは仕事である。
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