プリンストン債

 最近、上場・店頭企業が相次いで、プリンストン債による損失を発表した。元本保証、高利回りをうたった商品を購入したはずなのに、元本を償還することが全く不可能なくらいに資産が損失を被っているのだ。中には200億円以上の損失を発表した企業もある。

 このプリンストン債とはクレスベール証券会社が販売し、プリンストン研究所が運用していた商品である。プリンストン研究所のアームストロング氏はとても有名なチャーチストであり、日本経済新聞やビジネスサテライトなどに良く顔を出し、日本株式の行く末や、為替の動向についてコメントをしていた。ここの発行するレポートは、ファンドマネージャーの間でも回し読みされるくらいに有名だったのである。

 プリンストン債が何故問題になったのかというと、分別管理をしていなかったために、償還期限の到来した債券の償還原資として、新しく集めた債券の資金を当てていたことにある。これ自体非常に問題ある行為であり、元本保証をうたっていたことから考えると、証券詐欺と考えてもおかしくない。

 しかし、しかしである。基本的に、美味い話は世の中に無いのである。「元本保証で高利回り」との宣伝文句を聞いた時に、「そんな馬鹿な話はあるわけが無い。なんか胡散臭いなぁ」と考えなければならないのである。その上、金融商品に関する知識の全く無いおじいちゃんやおばあちゃんをだまして集めたお金ではない。金融商品に関する知識もきちんと持っていなければならない、上場企業の財務担当者に対して販売していたのである。「元本保証で高利回り」の宣伝文句を見たときに、「元本保証する会社はどこなのか。」「その会社は、保証するだけの財務体質なのだろうか」「いった、どのような運用をすれば、そんなに確実に運用できるのだとうか。」。そういった思考が出来なければ、財務担当の資格は無いと思うのである。そして、どんなに天才的なファンドマネージャーでも確実に高利回りに運用することなど出来ないのである。ノーベル賞学者が運用するヘッジファンドだって破綻をきたしたのだ。そう考えると、こういった商品を購入すること自体、財務の専門家としては失格だと思うのだが、如何なものだろうか。

 <参考>こちらのサイトに、プリンストン研究所が運用し、個人向けに販売された商品の説明があります。この商品は元本非確保となっていますので、クレスベール証券会社が企業向けに販売したものとは、その性格が異なりますが、プリンストン研究所、そしてアームストロング氏についての理解は深まるものと思います。



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