私用メール その2

先日の『私用メール』というエッセイに対して、以下のようなメールを頂いた。なかなか興味深い内容なので紹介したい。

解雇の理由が「私用メールが多い」というのは、あくまで建前で
元々その人の勤務態度自体に問題があったのでしょうね。私用
電話と違って、相手に数字を付き付きつけることが簡単に出来ま
すので。

実は、私が以前の部署にいた時、各人のメールの発信数・受信
数を集計していました。もっとも、これは社内LANを導入した直後の
頃なので、「なぜ、この部の人たちはメールのやり取りが”少ない
のか”」という観点で分析を行うためのもので、私用メールのチェック
(つまりメールが”多い”人のあぶり出し)とは対照的なものです。
調べた結果は、上司の考え方次第、となりました。おっしゃる通り
の結果ということでしょうか。

その当時、同僚と話していたのは「メールを解析していけば、どの人
には情報が入って来ていて、どの人には情報が入らないのかという
こと、すなわち職場でのその人の評価が明白になるのだろうね」と
いうことです。とかく評価が難しいと言われる本部の人員の人事評
価の材料になるかもしれませんね。

−−−略−−−

 メールを利用して本部の人事評価の材料になるのではないかとのことですが、実際、世界的に有名な某運用会社のファンドマネージャー評価は、この方法を利用していると聞いたことがあります。

 つまり、あるファンドマネージャー、ここではA氏としましょう。そのA氏が投資対象をピックアップするために企業訪問をして、投資対象として有望な企業を発掘してきたとしましょう。そして、このA氏は、社内でレポートを発表したとします。そして、このA氏はポートフォリオの2%組み入れたとします。ところがそのレポートを読んで、他のファンドマネージャー、ここではB氏としましょう。そのB氏が同じ銘柄を5%組み入れ、A氏よりも良いパフォーマンスをあげたときに、どちらを評価すべきなのかということなのです。

 日本では、「パフォーマンスが良いファンドマネージャー、つまりB氏の方が評価されて当然。」と考える人が多いように思います。でも、この運用会社は違うのです。B氏はA氏のレポートを参考に投資して、自分のファンドのパフォーマンスをあげただけですが、社内にレポートを発表したファンドマネージャーA氏は、自分のファンドだけではなく、その運用会社が運用するファンド全体のパフォーマンス向上に貢献したわけですから、当然後者を評価すべきと考えたわけです。

 同様に、メールのアクセスが多いファンドマネージャーは他のファンドマネージャーから頼りにされている、つまり、会社全体のパフォーマンスを向上させるために貢献していると判断し、良い評価を与える。つまり年棒が高くなると言うことなのです。

 これを極大解釈すると、いつもすっ高値を買って、大底を売るファンドマネージャーは、会社から大きな評価を受けるはずなんですがね。いつも高値を買って安値を売るファンドマネージャーは、自分のファンドのパフォーマンスを悪化させてしまうわけですが、他のファンドマネージャーから見ると、逆指標としてとても有効。つまり、本人以外のファンドマネージャーのパフォーマンスを向上させるのに、大きく貢献しているわけですから。

 いずれにしろ、私用メールと業務メールを中身を読まずに区別することなど出来ないはずですから、私用メールの制限を課すということは、メールの数を減らせといっているに等しいのです。そしてその結果どうなるかは、明白。上の例で言うと、会社の業績に貢献している社員ほど、評価が悪くなり、会社にとってはマイナスの効果しか及ぼさないのではないでしょうか。



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