私用メール

 あるパソコンメーカーの女子社員が、私用メールが多すぎるとの理由で解雇された。先日の新聞で、このようなニュースが三面を賑わしていた。そして、今週号の経済雑誌では、企業が私用メールを制限し始めたと伝えている。「当初、導入を促すために私用メールにも目をつぶっていたが、ここにきてメール利用も普及してきたことから、企業はメール利用のコストに目を向け始めた。」その記事はそう結論付けている。

 果たしてそうなのだろうか?確かに、私用メールで業務が手につかなかったり、アダルト系WEBサイトに業務中にアクセスする不埒な社員もいるだろう。しかし、私用メールの比率が高い理由をもっと検証すべきなのではないか。私用メールの比率が高いということは業務メールの比率が低いと言う事である。では、何故、業務メールの比率が低いのだろうか。

 企業、特に事務所が地理的に分散されていない会社がメールを導入するメリットは、ウェイティングタイムの削減による効率化である。分りやすく言うと、サラリーマンの仕事の大半を占める、「上司への報告」「上司からの指示」をメールで済ますことでホワイトカラーの生産性は大幅に上がるのである。自分の都合の良い時間に報告をし、指示を受けることが出来るからだ。これが、直接、面と向かって報告をしなければならないとなると、上司が多忙なときは、時間が取れるまで、ずっと待機しなければならない。また、部下が忙しいときでも、上司は部下を呼びつけて指示しようとする。いずれにしろ、こう言うことでサラリーマンの効率性は低下しているのである。

 つまり企業の役員や管理職がメールを使いこなせないことには、メール導入の意味はないのである。私用メールの制限を考えている会社は、私用メールの多さに頭を悩ませる前に、管理職や役員が本当にメールを使いこなしているかどうかをチェックすべきだろう。同じ建物内にいる管理職や役員にメールで連絡することが常識になれば、企業の効率性は格段に改善するのである。



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