リストラ

 世はリストラ流行りである。○千人削減!、給与○%削減!といった景気の良い(?)話が日々、新聞紙上をにぎわしている。公開会社である以上、株主の利益を最大限に増やすのが株式会社の使命だ。すなわち、既存事業以上に収益率の高い投資先の見つからない企業、収益性が低く利益のあがらない企業に関しては、人員削減や人件費削減によって固定費を削減し、収益性を高めなければならないのは当然なのである。

 しかし、どこの会社もリストラ、リストラと連呼しているのを見ると、反論したくなってくる。

 最初に書いたように、株主利益を最大限に高めるのが公開している株式会社の使命である。これを逆説的に書くと、『公開していなければ別に株主利益を最大限に高める必要もない』のである(多少語弊のある言い方ではあるが。。。)。企業経営の一つの考え方として、「従業員に職を与えるため、豊かな生活を与えるため」というのも、あながち間違った考え方ではないだろう。そうした場合に、公開していれば、株主に対する責任というものが発生するが、未公開会社であれば、一般株主に対する責任というのは考える必要はない。限られた株主の同意があれば、「収益は従業員で分け合おう」と考えても、なんら問題はないのである。公的主体としての責任を全うする事は必要だが。

 つまり、公開している会社でも、流通株式をすべて買い取り、非公開会社となり、収益はすべて従業員で分け合うというのも一つの選択肢ではないかと思うのである。

 リストラは生き残るための手段である。という考え方もあるだろう。しかし、従業員が一人残らず首を切られ、従業員のいない会社が生き残っても、何の意味があるのだろうか。

 現在の企業経営者は、リストラしなければ生き残れないといった強迫観念に基づいてリストラを進めているような気がするのである。株主の利益を考える前に、「誰のために、何のためにこの会社が存在しているのか。」を考えるべきではないだろうか。



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