投信の解約

 最近の投信記事を見ると、景気の良い話が多い。どこどこの株式投信が1000億円の資産を集めたとか、あそこの投信会社が数百億円の株式投信を設定した等々。。。。こういった記事を読むと、株式市場の好調さを受けて個人の資金が株式投信に向かっているのだろうと考えても不思議ではない。実際私もそう思っていた。

 ところが、よく調べてみるとそうではないようだ。投資信託協会のホームページでは毎月の投信会社全社、そして各投信会社の設定状況、解約状況が発表されている。これを見ると、3月は投信会社全体で8000億円の資産減少となっている。

 でも、株式投信は増えているのだろうと反論する方もいるだろう。ところが、株式投信は7400億円の設定があるものの解約は1兆1400億円、ネットでは4000億円以上の減少となっているのである。これには、些かびっくりした。結局、減少するパイの中でそのパイの取り合いをしているだけなのであろうか。顧客の資産をあっちからこっちに動かしているだけなのであろうか。

 投信には個人の資金だけではなく企業や金融機関の資金も流入している。3月決算で法人が投信を解約した一方、個人は投信を購入しているのだろうと考えることもできる。出来るならば、そうであることを期待したい。投信は、個人の資金の運用先としてこそ、その存在価値を示すことの出来る商品である。分散投資が投信の長所だとするならば、多額の資産を持つ法人や金融機関は自分で運用すればよいのであって、投信を購入する必要はないからだ。更に、多額の資金が一気に増えたり減ったりするのは、運用サイドとして非常に運用が難しくなり、基準価額への悪影響も大きい。

 現状の投信資産の減少が、投信の購入層に占める個人資金の比率が高まるための過程であるならば、これは喜ばしい現象と言えるだろう。しかし、ただ単に外債ファンドを購入していた受益者がこれを売却して株式投信を購入し、株式投信を保有していた層は株式市場の上昇を背景にこれ幸いと売却しているとするならば、投信業界に明日はない。投信会社、そして投信を販売する証券会社、銀行等の金融機関には、相場環境の短期的な変化に惑わされずに資産を積み上げるようなマーケティングを継続して欲しいと思うのである。



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