確実に負ける方法

 旅行というのは、ゆっくり本を読める時間である。搭乗手続き後から飛行中まで、今回も数冊の本を読むことが出来た。しかし中には、読まなければ良かったと、読み終えた瞬間にゴミ箱に直行する本もある。『元気な産業 意外なビジネス』と言う本は、単なる成長産業の羅列。その裏に潜む成功の秘訣や、成長の要因となっている環境変化や規制の変化には触れずに、こういう産業が伸びていると紹介しているだけ。そして紹介している企業も既に知っている企業ばかり。あまり得るものはなかったですね。

 それとは反対に面白かったのが『ツキの法則』。ギャンブに確実に勝つ方法はあり得ない。その理由を論理的に示した上で、確実に負ける方法を紹介。この方法を採らなければ、勝つ可能性は高まるのだと指摘する。

 では、具体的に、どうすれば確実に負けるのか。第一に回数を増やすこと。長時間プレイしたり、競馬で「流し」「抑え」と言われる方法で一度に何点もかけることである。第二は同じ金額をかけること。その他には、本命ねらいに徹すること、実力の必要なゲームに参加すること、以上4つが挙げられている。

 逆に言うと、短期決戦で一点張り、数回に分ける場合も金額を変える。本命を狙わない。実力の必要ないゲームに参加することが、勝つ可能性を高めることである。ま、負けたときのやられ方もでかいのだが。。。。

 これを見て何か気が付きませんか?そう、株式投資にそっくりなんですよ。回数を増やすことは『分散投資』(時間分散、銘柄分散)ですし、同じ金額をかけることは『ドルコスト平均法』ですよね。では、株式投資でも、集中投資、投資額をその都度変えることで勝つ可能性は高まるのでしょうか?それは違います。何故かというと期待収益率が違うからです。

 つまり、ギャンブルの期待収益率はマイナスです。競馬も宝くじも売り上げを全て配分されるわけではないし、売り上げ以上の金額を配分されるわけでもない。ギャンブルに参加する人全体の出資額と配当額を見比べると確実にマイナスになるわけですよね。ですから、期待収益率に近づけば近づくほど、確実に負けるのです。つまり確実に負ける方法を採らないためには、平均値から大きく離れること、いわゆるリスクを大きくすることが必要なのです。

 しかし、株式投資の期待収益率はいつもマイナスではない。株式市場全体の値上がりや値下がりを期待収益率と見ることが出来ますから、株式市場全体が上昇するときには、平均値に近づけることで確実に勝つことが出来る。つまり『分散投資』『ドルコスト平均法』は株式市場全体が上昇しているときには非常に有効な方法だと言うことなのです。

 ただ、株式市場全体が下落局面では、ギャンブルと一緒でこの本で言う確実に負ける方法になってしまうのです。従って、株式下落局面では、リスクを大きくとる事、つまり集中投資、投資金額を一定にしないことが、確実に負ける可能性を低くすることになると言うことなのです。ですから、分散投資に有効な投資信託というのは、株式市場の下落局面では確実に損する投資対象となってしまうのです。

 しかし、株式市場の上昇局面では、より確実に勝つことの出来る方法なのです。投資信託を等金額投資、時間分散投資することで、勝つ可能性は確実に上昇します。株式市場が上昇局面に入ったと考えるのなら、投信は"より確実"に、あなたの元手を増やしてくれることでしょう。(なんか、至極当然の結論になってしまいました(^^ゞ)



back to my homepage


WebMaster:Kimihiko Uchida bobubeck@can.bekkoame.ne.jp
or otherwise qzg00456@nifty.ne.jp
©copyright 1999 Kimihiko Uchida