非上場債の時価評価 その後

 非上場債券の時価評価に関して2回にわたって、私の意見を述べてきましたが、MMFや短期公社債ファンドのように実績分配型投資信託に関して、これが適用される反面、中国ファンドや公社債投信のように予想分配型のファンドに関しては適用されないようですね。

 ちなみに『実績分配型』というのは、預かったお金に対して、今日はいくらの利回りになりました、昨日はいくらになりましたと、後になってから利回りが分かる商品です。『予想分配型』というのは、商品を購入する前から、今週はどのくらいの利回りになりますよと分かっている商品です。

 ところで、投資信託が元本保証商品でないことはみなさんご存じだと思います。そして『この商品は元金が保証されているものではありません』と言った文言が必ず受益証券説明書に記載されていることもご存じでしょう。しかし、中国ファンドや公社債投信の受益証券説明書をよ〜くご覧になってください。『この商品は元金が保証されているものではありません』といった文言が見つかりましたか?

 そうなんです。予想分配型商品、つまり購入前に何%と分かっている商品については『この商品は元金が保証されているものではありません』といった文言を受益証券説明書に記載しなくても良いのですよ。だって、利回りが分かっているのに、「元本が割れるかもしれませんよ!」と、わざわざ言う必要はないでしょう。でも、だからといって中国ファンドや公社債ファンドが、誰かによって保証されていると言うことではありません。誤解の無いように。

 もし、予想分配型の商品に関して、債券を時価評価するようになったら、どんな問題が生じるでしょう。『この商品は元金が保証されているものではありません』と受益証券説明書に書かれていない訳ですから、もし含み損が存在していて、時価評価の時に一気に額面を割ることになったら、責任問題になるでしょうね。多分裁判沙汰になるでしょうから。

 更に、このような予想分配商品が、債券を時価評価するようになれば、商品価値は全くなくなってしまいます。解約が大量に発生するでしょう。その上、これらの商品が、債券の時価評価をするようになったら、今までの含み益をどのように分配するのか、問題が生じます。基本的に、受益者間の平等が、投資信託の原則です。含み損益が存在していることがはっきりしている中国ファンドや公社債ファンドに関して、これを表に出すことで、受益者間の不平等を引き起こすのは、どう考えても問題なのですよ。

 ちなみに日本では『この商品は元金が保証されているものではありません』と言った表現が一般的ですが、アメリカでは『この商品は預金保険機構の対象商品ではありません』と表現しますよね。



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