投信雑感 その1

 「僕の気持ちが将来も同じかどうかは分らない。気持ちが変わったときに、慰謝料を払えるかどうかも分らない。」「あ、それと、君の貯金の額も教えてくれ。僕に何かあったとき、君が一人でやっていけるかどうかを確認しておかないとね。」「最後に君の男性遍歴を教えてくれ。僕のわがままを受け入れられるかどうかを知っておきたいからね。」「よしこれでOKだ。僕と結婚してほしい。」

 こんなプロポーズを受けて、結婚をOKする女性がいると思いますか?ま、中には、非常に誠実な人だと感じて、プロポーズを受ける人がいるかもしれませんが、たいていは、NOでしょうね。

 「一生君を愛しつづけるよ。」と言うか言わないかは別にしても、「将来のことは分らないけど。」なんてわざわざ前置きしてプロポーズする人なんていないと思うんです。

 今、銀行が投信を販売している方法はまさに、これと同じだと思うのです。「投信にはリスクはあります。」「あなたの全資産を教えてください。」「あなたの投資経験は?」

 「投信に興味があるんでけど。」と言った途端に、こんな質問を矢継ぎ早にされ、それでも、投信を買おうとするのでしょうか。それほどまでに投信を購入しようと言う意識があるのなら、既に証券会社で投信を購入しているのではないでしょうか。

 先日の日経金融新聞にこんな話が載っていました。記者の方が銀行に行ってMMFを購入しようとしたときのこと。(記者)「MMFを購入したいのですけど。」(投信担当の女性行員)「この商品はリスクがありますけど。」(記者)「どんなときに元本が割れるんですか?」(女性行員)「国債などを購入しているので、国債がディフォルトになれば元本割れします。」この話を読んで思わず笑ってしまいました。ま、確かに国債がディフォルトになれば、元本割れする可能性は高いですけど。。。。

 リスクを啓蒙した上で販売しなければならないという姿勢は理解できます。しかし、販売しようとする人たちが、本当に理解し、そして好きにならなければ、単なるマニュアル販売。マクドナルドと一緒ですよ。数百円のマクドナルドならそれで十分なんでしょうけれども、投信は数十万円から数百万円、中には数億円を託すんです。「リスクがある。」と言う説明ではなく、「こういうリスクがある。だけど、われわれは投資対象商品の当面の相場動向に関してこういった見方をしている。」「このようなリスクがあるけど、そのリスクは、長期に保有することで十分カバーできます。」といったリスクのより詳しい説明、そしてもっと必要なのは、販売する人が、もっと投信を身近に感じることではないでしょうか。

 そこで、提案。投信の販売をはじめた銀行さんは、まず販売担当の方に投信を購入させてみては如何でしょうか。ボーナスの一部はMMFや中国ファンドを企業の補助付で購入を推進するとか、毎月引き落としの仕組みを導入して、インデックスファンドを購入してみるとか。実際に自分が購入して、良いものだと分れば、マニュアル販売からは脱却できると思いますよ。購入させた商品が元本を割れてしまうと逆に、「こんな商品勧められない。」という結果になってしまうかも知れませせんが。



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