銀行の投信窓販解禁

 本日より、銀行による投信の銀行窓販が解禁された。本日の日経新聞の広告は、殆ど全てが、投信関係で埋め尽くされていた。銀行による扱い投信の紹介、投信会社による、自社商品の扱い銀行の紹介等の広告が、ほぼ全てのページに渡って掲載されていた。そして最後のページには投信会社による、約款変更の公告。多分、投信窓販をうけて、既存のファンドを銀行で売ることが出来るように、最低口数を変更するなど約款変更がなされたのだろう。とにかく、ほぼ全てのページに『投信』と言う言葉を見ることが出来た。

 これだけ、一気に投信が表舞台に出てきたのだから、少しは投信の残高が増えるかなと期待したいところだ。しかし、実際には厳しいのではないかと思う。

 実は今日、某証券会社のストラテジストが当社に来て、プレゼンテーションをしていった。その内容はさておき、投信に関しては、概ね否定的な内容だった。私の上司が、執拗に「銀行が投信を販売すると変わるのではないか。お金が一気に流れてきて、株式市場は上昇、為替は円安に振れるのではないか」と、主張するのだ。私は内心、「そんなこと、ある訳ない。」と思いつつ、黙っていた。しかし、そのストラテジストが、あっさり「それはないですね。」と仰った。彼が言うには「個人が投信を買うには、投信のパフォーマンスが上昇する必要がある。まわりで儲かってきて初めて、個人は投信を買う。半年前の投信ブームは、投信ブームではなく外債ファンドブームだっただけ。」と仰った。基本的には私の考えも同じである。

 投信市場の拡大は、販売者の増加によってもたらされるのではなく、パフォーマンスの上昇によってもたらされるのだ。そしてパフォーマンスの上昇は基本的には、投資対象市場の上昇によって、なし得ることが可能になる。つまり、日本株投信のパフォーマンス上昇は、日本株の上昇によってのみもたらされるのだ。運用の上手い、下手は確かにあるだろう。しかし、それは、あるファンドがマイナス30%の時に、マイナス20%で済んだと言うレベルである。あるファンドがマイナス30%の時に、違うファンドはプラス30%と言うう事はあり得ないのである。投資対象が同じである限り。

 そして、投信市場の中心はあくまでも国内債、そして国内株ファンドだと私は考えている。つまり、国内株が長期に渡って堅調に推移しない限り、日本の投信市場の本格的な拡大には至らないと思うのだ。では、日本の株式市場はどうなのだと言うことだが、少しずつ改善の兆しは見えてきていると思う。何度が述べていると思うが、今までの企業は株主利益を考えずに経営をしてきた。従業員の利益、ユーザーの利益は考えても株主の利益等考慮する必要もなかった。しかし、最近になって、株主の利益を考えた経営をする経営者が、増えつつあるように思う。その歩みはのろいかもしれない。しかし確実に、株主利益重視の経営に、フォーカスは移りつつあるのだ。そうすれば、その結果として株価は上昇する銘柄が増えるだろう。そう言った会社が増えるにつれ株式市場も、活気を取り戻すだろうと期待している。その結果として、今、投信に投資する人も、来年投資する人も、数年後には、投資して良かったと思うようになるのではないだろうか。

 今は種まきの時期である。投信販売に乗り出した銀行は、すぐに結果が出ることを期待せずに、じっくりと投信の販売を考えていって欲しいものである。



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