東京銀行協会

 東京銀行協会がWebSiteを持っている。そしてここに、興味深いデータがアップされているのだ。既に知っている人は、知っていると思うが、東京手形交換高と不渡状況(速報)というデータがそれだ。

 新聞にも毎月載っているが、あまり注意してチェックしていなかったデータである。このデータで、10月の不渡り状況を見てみると、先月に比べて減少している。法人、個人両方ともだ。前年同月と比べても、その数は減少している。前年同月と言えば、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一證券と大型破綻が相次いだ月なので、1件あたりの金額が大幅に減少しているのは、分かるのだが、件数も減少しているのだ。

 手形交換枚数自体が減少しているので、経済規模が縮小している事も要因として上げられるかもしれない。しかし、不渡りの件数が今年度に入って初めて減少したと言うことは、やはり、お金が少しずつ回り始めているのかもしれない。

 貸し渋りがそう簡単に解消するとは思えない。銀行は、収益性を高めるために、いずれは、貸出総額を減少しなければならないのだから。これは、公的資金が投入されても変わらない。公的資金投入後すぐに、大型破綻を誘発するのはさすがに、世論が許さないだろうから、すぐに収益率を向上させるための切り捨てが起きるとは思えない。しかし、最後はそう言った手段をとってでも、収益性を改善していかなければ、銀行は生き残っていけないのだ。

 しかしながらそう言ったマイナス要因を除いても、日本経済は徐々に、暗闇から脱しつつあるのではないだろうか。公共投資の影響もそろそろ効き始めるだろう。更なる公共投資も検討されている。商品券構想が実施につながるとは思えないが、何らかの形で総需要を刺激するような策が講じられるだろう。景気は気からである。そして、将来に対する漠然とした不安さえ取り除かれれば、徐々に明るさが取り戻されるのではないだろうか。

 円高の影響が大きいことから、輸出企業は大幅に、業績予想を下方修正しなければならなくなってきている。株式市場は、そう言った企業の株価下落の影響を受けて、更に調整を余儀なくされることも考えられる。しかしながら、ここからの株式市場の下げは、最後の最後、「買い」に転換しても良い時期が、迫りつつあると思う。

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 実は昨日に、ここまで書いていたのです。ところが本日の日経新聞には、「手形取引の減少」を、現金取引の増加、つまり信用収縮によって説明していました。確かに、各会社が、取引相手の倒産によって回収し損なうことを恐れ、現金取引を増やしているのは確かなのでしょう。手形商いだと、会社の収益自体が帳簿上だけのものになってしまい、本当に儲かっているかどうかが分かりにくくなります。そう言った意味では、原始的ですが、現金取引が増えることで、その会社の身の丈にあった商売が出来るようになるのではないでしょうか。その上現在はデフレですから、現金が一番価値がある。ものを買うときも現金で買う方が安く買えるはずですから、現金取引が通常の取引として増えるのであれば、それはそれで、良いことなのではないかという気もします。

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 昨日のエッセイに関して、銀行員の方から、訂正すべきとのご指摘を頂きました。「銀行の海外撤退」と書きましたが、海外撤退ではなく、支店撤退なのだそうです。つまり、海外支店や、現地法人などの、事務所としては撤退するものの、海外での事業が全く出来ないわけではないとのこと。なかなか難しいですね。(^^ゞ



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