金融ビッグバン

 今更、金融ビッグバンと騒いでもしょうがないのだが、やっと日本の金融機関がビッグバンに向けて動き出した。大和銀行の国際業務からの撤退、そして安田信託の年金部門の切り離し、富士銀行と第一勧業銀行の提携。今まで、自力で全てやっていこうとした銀行が、その考えを捨て、生き残る道を模索し始めた。

 国内金融機関が金融ビッグバンに生き残る方策は、自分の得意分野を見極め、それ以外を捨てることでもある。今まで日本の銀行にはそれが出来なかった。他行が国際展開をすると言えば、自行も、進出する。そこに、戦略はなかった。当然、成功の見通しもない。あるのは、他行が進出するのだから自行もという、横並び主義だけだ。こんな中で、外資系金融機関が日本に進出してきても勝ち目はない。その上、日本の金融機関は不良債権に喘いでいる。

 やっと日本の金融機関も、何をすればよいかが見えてきたのではないだろうか。やるべき事は一つ。自分の得意な領域、生き残ることの出来る事業は何かを分析し、そこに経営資源を集中していくことだ。求めるのは収益額ではなく収益率なのだ。言い古された言葉を使えば、「量より質」。

 そして、そう言った方向に日本の金融機関が進んでいるのではないかとの可能性を、垣間見ることの出来るニュースが、最近新聞紙面をにぎわしているように思う。これらの事象が、本当に、金融機関の体力を強くする事が出来、金融ビッグバンを生き残っていくことが出来るのかは分からない。ただ、少なくてもそう言った方向に少しずつではあるが、動き出していると評価して良いのではないだろうか。

 数年前に政府は、「大手行は潰さない」と言った。そして北海道拓殖銀行が、海外から撤退した途端に、「大手行ではなくなった」結果として、破綻に追い込まれた。自己資本比率8%をあきらめ、国際業務から手を引く銀行が、ゴルゴダの丘を十字架を担いでのぼるキリストではない事を、切に願うばかりである。



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