コスト削減

 マツダが昨日、業績の上方修正を行った。売上高は、計画が7500億円だったのに対し、実績は7110億円と下方修正なのだが、営業利益は120億円の計画が215億円、経常利益は90億円の予想が185億円と大幅な、上方修正である。ちなみに前期の業績は売上7462億円、営業利益71億円、経常利益51億円であった。

 売上が減少していることに注目して欲しい。前期に比較しても352億円の減収なのにも関わらず、営業利益が約3倍、経常利益が約3.6倍と、大幅な増益となっている。つまり利益を伸ばすのは売上増加だけではないのである。確かに、今回のマツダの場合、円安が大いに業績拡大に貢献したことは事実である。しかしそれだけではない。今回の上方修正にしても、為替の要因は50億円、コスト削減効果が75億円と、コスト削減効果の方が大きかったのである。

 日本企業の殆どは、売上増、利益増という規模拡大路線を突っ走ってきた。未だにその幻影が抜けない経営者も多い。しかし、利益を増やすロジックはそれだけではない。特に、成熟産業となってしまった会社の中には、無理して海外に出ていったり、訳の分からぬ新規事業に金を注ぎこんだりと、もがく経営者が多い。しかし、そんなリスクを取らなくても、市場が縮小する中、利益を上げることは可能なのである。

 そう、コストカット、経費削減である。これを言い出すと、殆どの人は人員削減、すなわち解雇を想定する。そして、雇用確保は国民経済にとって重要なことだから、解雇は行わない、すなわちコストカットは出来ないと言うことになるのだ。せいぜい、設備投資計画を縮小するくらいが関の山である。しかし、そんなことをしなくても、コスト削減の方法はたくさんある。借金返済によって利払いを減らす。遊休資産を売却する。効率の悪い店舗を閉鎖する。販売チャネルを統合する。在庫を減らす・・・。

 しまむらという会社は、店舗の人員を一人減らすことに、相当な努力を払っている。そして、一人減らすことで、新店舗の人員を確保、1店当たりの経費を削減していっているのだ。そのために、カウンターの台の高さを変えてみたり、商品の配置を換えてみたりと涙ぐましい努力をしている。またイトーヨーカ堂の社長は、余剰在庫、機会損失、この二つの在庫リスクを減少させることで、売上減少する中、利益を増やしていくことは可能だと豪語している。

 マツダにフォードから経営者が乗り込んできたことで、利益が出るようになったことから、「やはり経営は外国人の方が・・・・」と言われそうだ。そうならないように、日本の経営者も頑張って欲しいものである。



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