PERは割高か

 この題名、実はちょっとおかしいですね。本来なら、「日経平均をPERで見てみると割高なのだろうか?」という言い方が正しいと思います。PERというのは、株価が割高かそうでないかを測定する指標ですから、PERが割高という表現は、「ものさしは長いのか?」と聞いているようなものです。まぁ、題名というのは、あまり長すぎてもインパクトが少ないですから、勘弁してください。

 本題に入りましょう。現在日経平均225のPERは約 58倍程度です。米国S&P500のPERは約 23倍ですから、この数字だけを比較すると、日本の株価はまだ割高。あと半分くらいまで値下がりしないと米国並のPERにはなりません。しかし本当に、日経平均のPERは割高なのかというのが、本日のテーマです。

 日経平均のPERの計算方法をご存じでしょうか?日経平均採用225銘柄の時価総額をぜーんぶ足したものを、日経平均採用225銘柄の当期利益をぜーんぶ足した数値で割ると、日経平均のPERが算出されます。分母に来る当期利益の合計額は、黒字の会社も赤字の会社も、単純にその利益を足しているのです。日経新聞の市況欄右上に掲載されている、日経平均PER 58.25倍(10月9日付 日経新聞)という数値は、その方法で計算されたものなのです。

 赤字の会社もPERの計算時に足してしまうと、株価は0円以下にはならないわけですから、指数のPERは一見、割高なように見えてしまうのです。

 そこで日経平均採用銘柄のうち、赤字予想の会社を削除して、黒字予想の会社だけでPERを計算するとどうなるのでしょう。私の計算では約28倍程度になりました。利益予想の数字に何を使うかで、この数値は多少変わってくるかとは思いますが、新聞に掲載されているPER 58倍に比べると、その割高感は随分薄れてくるのではないでしょうか。S&P500のPERが23倍でしたから、まだ比較すると高いように見えますが、それにしても随分ましですよね。

 景気の悪化が著しいことから、今後企業業績の下方修正が見込まれ、当期利益の合計額も今よりは小さくなるでしょう。特に輸出企業の業績予想の下方修正額は、為替の乱高下で更に大きくなる可能性もあります。そうすると、またPERは高くなってしまうので、それを修正する意味での株価の値下がりは、まだ続く可能性もあります。しかしながら、日本と米国の会計制度の違いを考えると、米国に比べた日本の株価の割高感は、既に無くなっていると考えても良いと思います。

 某研究所の日経平均予想では8,000円もあり得るとのことです。8,000円になると言って、8,000円で売る投資家はいないでしょう。8,000円になると思うから12,000円で売る人がいるわけです。それでは、8,000円になったとき、4,000円まで下がるという人が出てくるでしょうか。日経平均4,000円という水準は今から3分の1、先ほど紹介した日経平均黒字企業のみのPERは約10倍前後になってしまいます。個人的にそれはあり得ないと思っています。そうすると、日経平均が8,000円になる可能性は非常に少ない(まったくあり得ないとはもうしませんが)と思うのです。

 そろそろ、日本株を買う時期に来ているのではないでしょうか?



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