アウトソーシング

 昨日のテレビ番組で、気になったことがある。その番組は、スカイマークという新しくできた航空会社を特集していた。この会社、HISという格安航空券の会社が、設立した新しい会社だ。現在がんじがらめになっている航空産業に対する規制が緩和されたのを機に、既存航空会社の半分の運賃でサービスを提供しようと始まったと聞いている。そのテレビ番組では、運輸省が規制緩和に積極的であることを、内外にアピールしようと、スカイマークの業界参入を後押ししているといった見方をしていた。

 そのこと自体は別に問題ない。しかし、番組中に、スカイマークの機体整備に関して、コメンテイターが発した言葉が、どうも気になるのである。「この会社は、機体整備に関して、大手に頼らざるを得ない。」という表現を採っていた。「大手に頼らざるを得ない」このコメンテイターは、基本的に会社で行う業務は全て社内で賄うべきだと考えているのだろうか。

 このコメンテイターは、ミスミが総務部門を外部に委託していることも、サンマルクがFCの募集活動をベンチャーリンクに委託していることも、「外部資源に頼らざるを得ない。」と表現するのだろうか。

 もしかしたら、日本の中にこういった考え方がまだ根付いているのだろうか。会社の中で全て抱え込むことが、その会社の能力を表し、その会社の優良度を示していると考えているのだろうか。

 実際、過去の日本の企業は全てを社内に抱え込んできた。そして、社外にキャッシュフローを出さないように、グループの外にキャッシュフローを出してしまわないようにと、自己増殖してきた。しかし、その結果が、非効率な部門を抱え、資産の不良化に悩む今の日本企業の姿である。

 餅は餅屋という言葉がある。社内に、新たな部門を抱え込んで、研修費や人件費を無駄にかけるよりも、スペシャリストである外部の専門家に頼んだ方が、効率的だし、結果も良いだろう。コストもかからない。実際、アウトソーシングの会社が最近は、好調な業績を示している。例えばメイテック。この会社、設計を請け負う会社であるが、大手企業からの注文が後を絶たず、絶好調の業績となっている。

 中にはこのように、アウトソーシングを活用しようと言う会社や、アウトソーシングで伸びている会社があるのに、マスコミが、「頼らざるを得ない」と言うような表現を取っているようでは、また、日本の中に、アウトソーシングを「企業が未熟なため」と考える風土が残っているようでは、日本企業の効率化はすすまない。

 アウトソーシングは、自社が何に強いのか、競争力の源泉は何なのかを考えるためにも必要である。自分の会社は、設計力が優位にあるのか、それとも営業力が強いのか。生産分野に強みを発するのか。そう言ったこと考えて競争できない分野は外部に委託していく。それによって、企業の効率化が進み、競争力が向上するのである。また、こういった動きが、新しい企業の出現を後押しし、社会全体が、活性化していくのである。



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