アンケート

 昨日、TVニュースを見ていたら、北朝鮮のミサイル発射についての、国民の意識調査を発表していた。それによると、日本国民は、北朝鮮からのミサイル発射を受け、大きな脅威を感じるとともに、北朝鮮に対して更に強固な姿勢をとることを望んでいるとのことだった。

 戦争に対する想像力が欠如していた国民がなんとも、変わり身の早さである。実際、今回の事件は「国防」と言うことを真剣に考える大きなきっかけになったと思う。しかしながら、まず第一に、こういったアンケートは質問の聞き方一つで、大きく結論が変わってしまうこと、第二にマスコミが煽ることで、国民が更に同じ方向を向きやすいこと、第三に、強硬論は北朝鮮を更に刺激する可能性があること、などに注意しなければならない。名前は忘れたが、北朝鮮から亡命した偉い人が、@金正日氏は国家主席にならない、A北朝鮮は戦争を始める、の二点を予言している。そしてそのうちの一つが、実現されたのだ。誰もが金正日氏の国家主席就任を予想していたのに、そうならなかったと言うことは、この人の予言(というよりは、重要な情報を元に組み立てられた推測)には、相当な信頼性があると考えた方がよい。

 北朝鮮との関係を悪化させることが目的なのではなく、上手に国交を開き、我々にとって驚異を抱くような行動をとらないよう、導くのが重要なのである。そして、マスコミの不用意な発言は、大きくその目的を後退させるのである。

 アンケートは、質問の仕方一つで大きく結論が変わってしまうと書いた。例えば、「ここ1ヶ月に起きた事件の中で一番、重要なものを上げなさい」と聞かれたとしよう。みなさんはなんと答えるだろうか。和歌山のカレー事件を上げる人もいれば、大リーグでのホームラン競争を上げる人もいるだろう。株式がバブル崩壊以後の最安値をつけたことを上げる人もいるかもしれない。しかし、「先日の起きた、北朝鮮の三セイル発射は、あなたにとって重要な事件でしたか。」と質問すれば、「はい、そうです。」または「少しはそう思う」と答えるだろう。そして、少しはそう思う人も含めて、どれくらいの比率の人が、ミサイル発射事件を重要な事件と認識しているかの統計をはじくと当然、相当な高さになるのである。しかし、これをもって、全ての国民が、北朝鮮に対する驚異を大きく感じ強硬論に踏み込もうと、本当に思っているのかどうかは疑問である。ただ、こういったアンケート結果をマスコミが報道し、騒ぎ続けることで、本当に国民は偏った方向に一つになってしまうのではないだろうか。

 個人的には、今回のミサイル事件は日本国にとって脅威を感じさせるものであったと思う。しかしながら、前回のエッセイで書いたとおり、私が一番必要に感じているのは、北朝鮮に対する強硬論や、経済政策による反撃ではなく、情報収集能力の強化なのである。自分の国にミサイルが発射されているのに、そのミサイルが当たってから数時間も経たないと、どこに落ちたか分からないと言うのであれば、それは、ステゴザウルスと一緒である。ステゴザウルスは、脳味噌が梅干し程度の大きさしかなく、尻尾を叩かれてもそれに気づくのに数十秒かかったらしい。(小さい頃、絵本で読んだ知識なので正確かどうかは分からないけれども。。。。) 日本がステゴザウルスにならないような努力をすべきなのである。



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