PHS

 ここの読者の中でPHSを利用している人はどのくらいいるのだろうか?多分、ほとんどの方が携帯電話を利用していると思う。中には両方という方もいるだろう。実際私も両方持っているが、通話には携帯電話を利用している。PHSはというと、データ送信用として持ち歩いているだけだ。以前、PHSの利用は、ほとんど女子中高生のみという話を、このエッセイで書いた。実際PHSの利用時間は夜中になると極端に増え、逆に昼間はほとんど利用されていない。つまりビジネスユースは殆ど無いといって良いだろう。

 実は昨日、DDIの方からいろいろと話を聞く機会を得た。PHSキャリアの中では、唯一加入者が増えているし、またPHSへの期待も他社に比べて大きい。しかし、携帯電話の通話料金の値下がりや、技術の発達によるデータ送信速度の向上が進むにつれ、PHSの競争力は著しく削がれている。こういった現状の中、どうやってDDIポケットが収益を上げて行くつもりなのか。NTTがPHSを諦め、NTTドコモに吸収させたのに対し、DDIはどういった戦略を描いているのだろうか。こういった点に非常に興味を持っていたのだ。

 現在、他社が加入者を減らしている中で、当社だけが加入者を増やしている理由の一つにはP-mailの存在があるようだ。P-mailとはいわゆる文字通信。20文字までだが、PHSを使って文字を送信することが出来るのだ。ところが今までP-mailはDDIポケットの端末同士でしか、通話が出来なかった。そうすると、友達がDDIポケットを使って文字を送りたいと思うと、受け手の方もDDIポケットに加入せざるを得なかったわけだ。これが、現在DDIポケットの加入者が増えている大きな要因となっている。

 このP-mail、汎用的に言うと文字送信。これがPHSが生き残る大きなポイントだとDDIは考えているようだ。文字を打ち込むと言うことは、通話に比べると時間がかかるから、料金は少しでも安い方がよい。逆に、歩きながら文字を打ち込むのはちょっと難しいだろうから、移動中に送信できる必要性はそれほど大きくないだろう。つまりPHSの生き残る道として、文字送信が大きくクローズアップしてきているのである。

 DDIでは、文字送信のニーズを深めるために、様々なサービスを用意しているし、今後も新しいサービスを検討していく計画のようだ。まずP-mailの文字数を増やせるようにするというサービス。P-mailは20文字だったが、P-mailデラックスと称して100文字まで打てるようにするらしい。あの小さなキーで文字をそんなにたくさん打つ必要があるのかと個人的には考えてしまう。それだったら、モバイルパソコンを持ち歩いて、電子メールを使った方が楽だと考えてしまうのは、我々の浅はかさ。女子中高生は我々が絶するような早さで、PHSのキーをタイプするらしい。そしてそう言った人たちにとって文字数20文字では全然足りないとのことだ。

 文字通信は、女子中高生だけではなく、新たな需要を生み出す。つまり耳の聞こえない人、喋ることの出来ない人たちも、文字通信なら、手軽に遠くの人とお喋りが出来るようになると言うことだ。これは画期的なことではないだろうか。

 DDIは文字通信の他に、『安心ダホン』というサービスを初めた。月980円の料金で通話できる先が2カ所に限定したPHSのサービスを始めたのだ。この利用者は小さい子供を持つ親。こどもにこれを持たせることで、何かあった場合に家や勤め先に連絡できるようにと購入するらしい。子供に持たせ安いように、ドラエモンの形をした端末を売り出している。

 このサービスを初めて聞いたときは、なかなか面白いサービスだと思ったが、現在はこのサービスを企業向けにアレンジしようとしているらしい。つまり、いつどんなときにでも社員と連絡を取れるようにするために携帯電話やPHSを買い与えたいという企業はたくさんあるらしい。しかし、携帯やPHSを買い与えると、私用電話の回数が多くなってしまうと懸念しているのだ。特に外出しているときには自分がしよう電話をしているのかどうかを見張るうるさい上司もいない。安心して私用電話、それも長電話が出来る。これじゃ、何のために社員に電話を買い与えるのか分からないと言うことだ。そこで、「安心ダホン」のサービス。つまり限定された2カ所の電話番号のみ使えるようにして、その電話番号として所属部署の電話番号とデータ送信のための電話番号を登録する。そうすると私用電話にはこのPHSは使えないと言うことになる。更にこのPHSで社内電話もかねられるようにして、企業向けに売っていきたいというのが、DDIの考えのようだ。

 サービスというのは顧客が求めるものを提供するだけでは駄目。自ら使い方を提案していくことで市場は広がっていくのである。PHSも、新たな使い方を提案していくことで、それなりの市場を作っていくことは十分可能なのかもしれない。そしてそれが投資に見合うようなリターンを得られるのであれば、いずれ株式市場もこの会社の評価を見直すことになるだろう。依然として、全面撤退しなければならなくなるというリスクも残っているが。。。。



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