株主総会後

 昨日の日経新聞に気になる記事がありました。住友信託と長銀の合併に関する記事中。長銀側の対応の中に、「時間の猶予がなかったので、株主総会が終わってすぐに、合併を発表したかった。」との談話があったのです。

 本来、合併は株主にとって一番の重要案件。株主総会前に発表して、株主にその正否を問うのが建前であろう。(株主総会の議決事項であるかどうかは別にして。)

 政治の世界でも、同様のことが言われている。曰く、「参議院選挙が終われば政策を打ち出せる。」????これは選挙民を騙そうと言うことでしょうか。

 その論理は分かります。今必要な改革というのは痛みを伴いますので、選挙民の反発を招く恐れがある。当然選挙前には、そんなことは言えない。選挙が終わってから、税制改革も金融システムの建て直しも、手を付けざるを得ないと言うことでしょう。

 しかしながら、もう、こういった考え方は直すべき時に来ている。総会屋との癒着の問題も結局は、株主総会を平穏無事に過ごし、株主に対して、会社の汚い面を隠し通そうとしたために起きた事件です。山一證券の自主廃業だって、簿外債務を隠し通そうとしたために、債務が膨らみ、自主廃業に至ってしまったのです。

 これからは、隠す時代ではなく、公開していかなければならないのです。そしてそれは、早い方がよい。きちんと、それを説明していくことが必要なのです。株主総会にしても、「株主なんて、株価しか見ていない」と馬鹿にせず、真摯な態度で、一つ一つ説明していかなければならないのです。選挙にしても、今必要な政策が選挙民にとって痛みを伴うものであったとしても、それを隠さず、きちんとその重要性を説明していかなければならないのです。

 数年前の消費税の導入時。他の自民党議員が、消費税に触れずに選挙を戦おうとしていました。その中にあって、橋本現首相だけは、消費税の必要性を選挙民に訴えてきました。その結果、橋本氏のプレゼンスは上がっていったのです。今現在の橋本氏を擁護するつもりはありませんが、過去の実績は評価します。当時の橋本氏のように、選挙民にとって痛みを伴うことでも、それが、日本にとって必要なことであれば、選挙民はそれを理解してくれると思います。

 とにかく、相手が理解できないだろうと馬鹿にするのではなく、情報公開を適時行い、それに対してきちんと説明していく。こういった態度が必要になっているのではないでしょうか。それが出来ない会社は、市場から強制退去を命じられるし、選挙では選挙民に否定される。そんな時代になったのだと思います。



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