新社屋

 私は会社取材をするとき、まず最初にその会社の本社建物の外観をじっくりと眺める。立派な本社ビルを建てている会社には投資できないと考えているからだ。本社ビルは、収益を生み出さない。株主の大切な資金を、収益を生み出さないものに多数つぎ込んでいる会社が、株主のための経営を行えるはずがないだろう。

 当然例外はある。一般の人達に名前の知られていない会社の場合、会社の規模が小さければ社員はなかなか集まらない。優秀な社員を集めるために、立派な新社屋を建てて、親御さんの安心感を引き出すことも必要になってくるだろう。学生が、会社に興味を持って入社を決意しても、ボロボロの社屋だと、親が反対するそうですから。

 本日の日経新聞「春秋」に面白いことが書いてありました。長銀の新本社ビルが完成したのは93年。山一證券の新本社(賃貸ですけど)が完成したのは96年。「建設計画は、つねに、その機関の崩壊点に置いて達成される」と故パーキンソン氏は言ったとか。成長中の組織はちゃんとした本部を作る余裕が無く、余裕が出来たときは、組織は既に峠を越していると言うことらしい。

 働く立場から言うと、「立派な本社ビルだけれども、成長中」というのが一番なんですが、そんなことはあり得ない。オフィスに不満が無くなったときには、その会社の成長は既に終わっていると言うことでしょう。



back to my homepage


WebMaster:Kimihiko Uchida b obubeck@can.bekkoame.or.jp
or otherwise qzg00456@niftyserve.or.jp
©copyright 1998 Kimihiko Uchida