パラサイト・イブ

 「パラサイト・イブ」が今だに終わらない。「パラサイト・イブ」とはスクウェアが3月末に発売したRPGで、数年前に映画化された「パラサイト・イブ」をゲーム化したものである。私が購入したのは今月に入ってからなので、「今だに終わらない」というほど時間が経ったわけではないが、大抵のRPGは1週間程度で終わらせてきた私にとっては、ちょっと時間をかけすぎである。

 何故終わらないのかというと、はっきり言って面白くないのである。つまり、ゲームが長すぎて終わらないとか、謎が解けなくて終わらないのではなく、ゲームのスイッチを入れていないのである。

 このソフトは、発売前には相当期待されていたソフトである。スクウェアも相当期待していたソフトだが、デモを見ていた私も、そのリアルさに圧倒され、これは絶対に売れると期待していた。しかしながら、あまり評判もよろしくないようで、会社の出荷は140万本だったものの、実際に売れたのは94万本程度。アクション対戦ゲームやスポーツ物は30〜40万本売れれば大ヒットなのでそれに比べれば、売れた方だろう。しかし、この会社の代表作であるファイナルファンタージーは300万本である。そしてカプコンのバイオハザード2はとうとう500万本の大台に乗ったようである。それに比べると、パラサイト・イブの100万本未満というのはちょっと情けない。開発費も相当かけているので、100万本未満というのでは、事業としてもうまみに欠けるだろう。まぁ、海外では、売れると思うので、海外販売で開発費を回収し、それなりの利益率は確保できるとは思う。

 しかし、何故面白くないのか、何故売れないのかを、一ゲーマーとして考えてみたい。まず第一に、絵の出来が、シーンによって全然違うのだ。CMとかデモに使われている場面は、CGの技術を結集させた素晴らしい出来映えだが、違うシーンになると一転、絵の具で書いたようなレベルの絵になってしまうのだ。これでは、ストーリーを追っていく際に、白けてしまう。次に、バトルが難しすぎること。バトルは静止画面ではなくリアルタイムで進行する。しかし、その相手が強すぎる。主人公を成長させるだけではなく、戦う際に逃げ方や攻め方を一歩間違うと、まず勝てないのである。こういったリアルバトル方式では、女性のゲーマーはそっぽを向く。女性のユーザーを捕まえるには、ファイナルファンタジーやドラクエのようにバトルが静止画面で行われなければならない。

 そして、最大の問題は、絵がリアルなときにでも主人公の行動はリアルではないのだ。例えば、ドアを開けるとき。ドアの前に立つだけで勝手にドアが開いてしまう。自動ドアでもないのに。電話をかけるときも、電話から遠いところに立っていても、電話をかけることが出来てしまうのだ。絵がリアルになればなるほど、主人公の動きにも、よりリアルさが求められてしまう。昔の平面的な画面の時には許されていた主人公の動きが、画面が3次元になったために逆に許せなくなってしまうのだ。

 最後に、映画の「パラサイト・イブ」のイメージが強かったこともあるだろう。私はこの映画を見ていないのであまり関係ないが、映画のイメージから、このソフトの購入をためらった人も結構多かったようである。

 いずれにせよ、次回のファイナルファンタジー[は期待を裏切らない、内容の濃いソフトを期待したい。



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