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 フランチャイズチェーンへのマスコミの攻撃がなかなかやまない。先日、『選択』でセブンイレブン、サークルKへの、批判記事が載ったかと思うと、今度は週刊『ダイヤモンド』でフランチャイズの地獄"と題して、コンビニチェーンに対する批判記事が特集されていた。

 一昔前までのフランチャイズチェーンへの批判は、会社名も聞いたことがないようなビデオチェーンとか、オペレーションに問題があることが一目瞭然のコンビニなど、社会問題となってもしょうがないような企業ばかりだった。しかし、最近はちょっと違う。上場企業を中心に、誰もが知っているしFCオーナーも数百人と居るような大規模で、利益も十分に出しているようなFCチェーンが批判の対象となっている。

 具体的には、セブンイレブン、ファミリーマート、サークルK等々。いわゆる、成長企業として株式市場でも期待されているような企業ばかりである。

 マスコミの批判を読んでいると、その内容はいくつかに分かれる。一つは「勧誘時に日販(一日あたりの販売額をこの業界では、日販と言う)を保証した。」「日販がこれだけあれば、これだけ利益が出ると言ったのに、実際は、目標販売額に達しても利益が出ない」等という、勧誘時の問題。これは勧誘の仕方や契約書に問題がある可能性も捨てきれないが、どの時点を利益と称するかに関して、本部とオーナとの間に意識の差がある事が、問題をこじらせている場合もあるようだ。

 しかし、その次に続く「やめたくても高い解約金が取られるので止められない。」、「自分の所はなかなか業績が伸びずに苦しい生活が続いているのに、本部だけは利益をがんがん伸ばしている。共存共栄ではないのか。」等という、FCオーナーの不満を読んでいると、「まずは、オーナーがもっと努力すべきではないのか。」と思ってしまう。

 コンビニはドミナント展開によって、店舗間の隙間を埋めていくことで、全体としての売上や利益の伸びを目指していく。これに対して、一オーナーからしてみれば、すぐ先に同じ看板の店が出来たから、売り上げが落ちたと不満を持ってしまう。しかし、本部も他社との企業戦争のまっただにいるのだ。そこのオーナーに迷惑がかかるからと、良い立地の店への出店を控えれば、他社が出店してしまう。いずれにせよ、何時の時点かでどこかの会社が出店することになるのだから、オーナーにとっては、自社に売上の一部を持っていかれるか、他社に持っていかれるかの違いだけなのである。

 その中で、売り上げを落とさない、または伸ばしていくためには、新しく出店するところも自分が出資することで、自分も全体としての売上や利益の伸びを目指していくか、その地域での競争を何らかの形で阻害するか、はたまた落ちていく日販で満足するかの選択しかないのだと思う。FC本部にしても、自社内競合によってどちらも利益が出ないくらいに過密な出店はするはずがないし、もし、出店したとするならば、その結果は、FC本部の利益減少、そして株価下落という形で跳ね返ってくるのである。

 こういったFCオーナーの不満の一つは、ソフトに対する価値を考えられない日本人の国民性もあるのではないかと思う。ブランド力や、オペレーションノウハウといった無形の物に対し、最初はロイヤリティとして支払っていても、経営を続けていくうちに、この売上による利益は全部自分の努力の結果。何故、毎月利益の何割も本部に持っていかれなければならないのだという不満もあるのではないだろうか。

 ただ、FCの仕組みを考えていくと、このシステムにも全く問題がないわけではないと思う。本部とオーナーとの間だの利益背反という問題は除くとしても、FCオーナーの経営努力を、一部に偏らせてしまっているからだ。商品の品揃えを考えたときに、FCチェーンは企業イメージの統一、何処でも同じサービスを受けられることを目的に、仕入れる商品も限定していく。まぁ、逆に言うと、本部の提供する商品を置かないのだったら、その本部の看板を掲げる意味もないのだが、そのことによって、FCオーナーの経営努力は商品開発力以外に向けるしかないのである。もしかしたら、その地域だけで売れる商品があるかもしれない。FC本部も地域の特性を考えた品揃えということを言い出してはいるが、ここで言う地域とはちょっとその範囲が違う。もっと狭い範囲での、地域性を考えた商品開発はFCオーナーにしかできないはずなのである。こういった努力を排斥する結果に繋がっているとしたら、FCチェーンの仕組みというのも、もう一度考え直す時期が来ているのかもしれないと思うのである。


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