某衛生陶器会社の変身

 衛生陶器の会社というとほぼ市場は飽和状態、今年度、来年度の住宅着工の落ち込みを考えると業績は停滞するだろうと考えられる。実際、上場している衛生陶器の会社はほとんど、冴えない業績予想となっている。 

 そんな中で、中期的に強気のシナリオを書いている衛生陶器会社がある。金曜日にそこの会社の説明会に参加してきた。この衛生陶器会社、最近はウオシュレットが売上を引っ張ってきたが、さすがに建て替え需要も低迷しているため、このウオシュレットも今期、来期あたりはその成長力が鈍化しそうな気配である。

 しかしながらこの会社には秘策があるのである。それが、光触媒技術。2年前に新聞発表して以来株式市場では、そこそこ話題になりながらも、どういった形でこの会社の業績にインパクトがあるのかが理解されず、株価を持ち上げるほどには至らなかった。本年に入り特許に関してほぼ、目処がついたことから、より詳しく、ファンドマネージャーやアナリストに、この技術の詳細と応用例を紹介したいというのが今回のセミナーの目的であったようだ。

 基本的な仕組みは次の通り。酸化チタンをガラスや鏡の表面に塗りこみ紫外線をあてると水になじみやすくなる。風呂の鏡が曇ったり眼鏡が曇ったりするのは、ガラスや鏡の表面が水をはじいてしまい水滴になってしまうので、光が乱反射してしまうせいである。しかし、酸化チタンを表面に塗って紫外線をあてると水を弾かなくなるので、眼鏡や風呂の鏡が曇らないのである。

 この技術の特質は「曇らない」ということだけにとどまらない。水を弾かなくなり表面を覆ってしまうので、水以外の物質からガラスや鏡の表面を守るのである。水以外の物質を弾いてしまうと言うことは、汚れない、菌がつかないと言うことである。つまり汚れが付着すると困るけれども、人がそれをきれいにするためにはコストがかかったり危険が伴うような場所にニーズが生まれる。例えば道路の標識、ビルの街壁や窓ガラス等である。トイレの便器なんかも、人が嫌がるという意味ではニーズは大きいかもしれない。

 この会社は、この技術を今年から大々的に宣伝し、2000年度には、特許料を含め1,000億円の売上を見込んでいるようだ。うまく会社の見込み通りに事が運べば株価も上昇するだろうし、会社もこの沈滞ムードから脱することが出来るのだろうが、果たして目論見通りに事が運ぶかどうか・・・。個人的には期待はしているものの、ビジネスパートナーの活用など、新しいビジネスモデルを採用して進めていくようなので、利益率が会社側の目算通りにいくかどうかが、悩ましいところである。


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