メリークリスマス

 メリークリスマス!

 今年は本当に散々な年でしたね。株式市場に限っても、堅調に推移したのは4〜6月のみ。年初は4月以降、消費税率引き上げと公共投資削減の影響から景気が一時的に落ち込むとの見通しから下落。7月以降は、景気がなかなか回復しない上に、タイバーツを初めとするアジア通貨の下落から、世界株式全体が軟調な展開。11月にはいると、金融機関が次々に破綻。春日大社のお告げでは、11月が大底との事であったが、12月には安値を更新。銀行の貸し渋りが表面化し、大手食品商社が破綻したことも、売り手を勢いづかせてしまいました。

 来年は少しは、良い年になるのでしょうか。本日、早期是正措置の弾力化運用などの貸し渋り対策が発表されましたが、株式市場にとってのクリスマスプレゼントとなるのでしょうか。

 銀行の貸し渋りの要因の一つが、早期是正措置にあることから、私も、早期是正措置の無期延期くらいしか、現状を打破する政策はないんじゃないかと考えていました。しかし、大蔵省の発表内容を見ていると、やはり間違っていたような気がします。早期是正措置は、量から質への転換を促すものです。日本の金融機関は今まで、量的拡大を求めることで収益は後からついてくると考え、預金量、そして貸出量を追い求めてきました。しかし、BIS規制、そして早期是正措置には預金量や貸し出しの量は関係ありません。自己資本比率によって、金融機関の経営基盤を判断し、ふるい分けるのが本来の目的です。つまり、大きく物の考え方を変えていかなければならないのだから、そこには歪みが生じます。この歪みは、量から質への転換を図るためには避けては通れないものであり、この歪みを避けるのではなく、受け入れる度量が政府には必要なのです。

 本日の大蔵省の発表による貸し渋り対策は、逆に、時間稼ぎ、そして、臭い所に目隠しをすることで、この歪みを避けて通ろうとする姑息な手段です。特に上場株式の評価を原価法と低価法の選択制にするという対策などはもってのほか。ディスクローズの進展が叫ばれているというのに、時代に逆行するような対策だ。こんなことでは、何も解決にはならない。一時的に貸出が回復したとしても、金融機関の経営の質の転換が遅れるだけである。

 ビッグバンへ向けて、金融機関は壮絶なサバイバル戦争に突入する。しかしこれは、日本の景気を悪化させるためのものではないはずです。消費者が、より多くの、そしてより大きな金融サービスを受けられるようになるためのものである。クリスマスプレゼントも、金融機関の変身を遅らすものではなく、消費者にとってのビッグなプレゼントになるよう考えて欲しいものです。


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