11月30日

おはらい

 昔、一度だけ、手相を見てもらったことがあります。同僚と飲んでいた帰り道。地元の駅の近くのお店の前で、簡易机を置いて、男の人が手相を占っていたのです。多少酔っぱらっていたので、気が大きくなっていたのでしょうか、面白そうだと思い、占い師に手を差し出しました。「占って下さい。」と。

 占い師は、私の手を見ながら、こう言ったのです。
「仕事は順調だよ。徐々に良くなっていく。健康も問題ないな。お金に困ることもない。」
「はぁ、そうですか。」と私が答えると、
「で、何が聞きたいの?」と占い師。
仕事も健康もお金も問題ないとすれば、後は結婚だけではないか。そこで、私は
「じゃぁ、結婚はどうですか?」と聞いた。突然、占い師は
立ち上がり

「おはらいをしなさい!」

と宣った。おいおいおいおい・・・・。

 おはらいは、直ぐ近くの会館で明日もやっているから是非来なさいと言うのだが、なんか胡散臭かったので、これは丁重にお断りした。そうすると、「じゃぁ、気を付けなければならないことだけ教えてあげるから。」と、いくつかの注意点を教わった。私は、代金を支払い、「手相占いってこんなものかぁ。」と、また一つ社会勉強をした事に満足していた。しかし、「おはらいをしなさい」と言う言葉だけはどうも、耳に残っていたのです。

 幼少時代私は日曜学校なるものに通っていました。一緒に通っていた仲間の中に、二つ上の先輩がいたのです。この先輩とは、小学校、中学校と別だったことから、日曜学校に行かなくなってからは会うことはなかったのですが、高校に入学し、合唱部に入部すると、そこにいたのですよ。その先輩が。

 しかし、日曜学校に通っていた頃とは、全く変わっていたのです。昔はブクブクと太っていたのですが、高校で再開したときには何と、筋肉隆々、昔の面影は全くありませんでした。そこで、「昔はもっと太っていましたよねぇ。」と聞いたところ、その先輩はこう答えてくれました。
「実はおはらいしたんだ。」と。。。。。。。
小さい頃、兄弟喧嘩が絶えなく、これを心配した母親に、「おはらいをしなさい」と神社に連れて行かれたのだそうだ。おはらいをしてもらうと、手からもくもくと蛇のようなものがでてきて、ふっと消えたそうな・・・・。それ以降も兄弟喧嘩は直らなかったが、体格は急激に変わったそうだ。

 最近、私の回りで、あまり良いことが起こらないで、おはらいをしてもらおうと思い立ち、近くの神社に行きました。神社の中に入り、受付のところで呼び鈴を押すと神主さんが出てきました。「どうしました?」と聞くので、「おはらいをしてもらえますか?」と聞くと、「直ぐ出来ますよ。」とのお言葉。「ではお願いします。」と、上がらせてもらいました。色々と、質問されるのかなぁと思っていたのですが、その神主さんは何も聞かずに、紙を指しだし、「これに、住所と名前、生年月日を書いて下さい。」と言うだけでした。書き込みが終わったときには、神主さんは既に着替えが終わってました。私が、住所、名前を書き込んだ紙を渡すと、これを確認した後、境内(神社の場合、こうは言わないのかな?)に私を連れていき、おはらいが始まったのです。

 神主さんが、お経(これも神社の場合は、違う言い方があるのでしょう。今とっさには思いつかないもので・・。(^^ゞ)をあげている間、目をつぶって聞いておりました。その後、小枝のようなものを、神前に捧げ、礼をして、おはらいは終わりました。高校の先輩が言っていたような超常現象はおきませんでした。しかしなんとなく、気は晴れたような・・。

 これから良いことが起こるかどうかは分かりませんが、一つ頭に引っかかっていたことを取り除くことが出来たような気がします。明日からは、また、自分の力で、未来を切り開いていかなければと思うのでした。


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