11月30日

金融不安

 ここ数日、お休みをいただいておりましたが、その間、たくさんのメールをいただきました。有り難うございます。ご心配をおかけしましたが、私は元気にやっております。

 本日の日経新聞では橋本首相が公的資金の導入を決断したと報道されている。しかし、これは預金者保護のためであって、金融機関を守るためのものではないとのことだ。守らなければならないのは預金者のお金であると・・・。

 はたして、これで金融不安を解決できるのだろうか。「あなたが預金している銀行はどうなるか分からないけれども、あなたの預金は100%帰ってきますからご安心を。」こう言われて、安心して預金するのだろうか。「そうは言われても、安全な銀行に預け変えておこうと」か、「自分でもっていた方が安心。」と思うのが普通ではないだろうか。今までだって、破綻した金融機関に預けてきた預金は100%保護されてきた。しかし金融不安はいっこうに改善しないではないか。

 守るべき者は、預金者のお金ではなく、金融システムではないのか。預け先が、安心できるから預けるのであって、自分のお金は100%安全だから、預けるのではないと思うのだ。

 公的資金の導入は預金者保護ではなく、金融機関に直接投入すべきだと私は思う。しかしその際には、不良債権を膨らました経営者、そしてそれを追認した某当局は厳しく追及されるべきであろう。また、全ての不良債権を精査した上で、公的資金を投入しても再建が不可能なところは強制的に、整理することも必要だろう。国民は現在、公表不良債権を信用していない。その中で、いくら「みなさんの預金は大丈夫ですよ」と叫んでも、納得はしない。全ての隠されたものを洗いだし、これに対して、公的資金で処理する。そして、もう何も隠されたものはありませんよと宣言することが、今の不安を解消する一番大切なことだと思うのです。

 「PBR」と言うエッセイで、有価証券報告書が信用できないと言うことを書いた。これは金融機関にも当てはまる。時価評価の導入も必要だが、連結対象会社として連結に含めるかどうかの判断も変えていかなければならない。現在は売上、及び利益に置いて重要性の高いものだけを連結対象にしてきたが、これでは、再度同じ事を繰り返す事になる。売上も利益もないペーパーカンパニーで何でも出来るのだから。売上、利益の額に関わらず、将来的にその会社の有価証券報告書に何らかの影響を与える可能性のあるものは全て連結させるべきだろう。債務保証も同じだ。これによって将来的に、その会社の財務諸表に辞重要な影響を及ぼすことが考えられるわけだから、これらのものを全て有価証券報告書に注意書きででも記述させなければならない。

 そうして、記述以外の内容で、財務諸表を痛めることが有れば、これは重大事項の隠蔽として厳しく処罰すべきである。こうやって、有価証券報告書が信用できるようになれば、欧米流の自己責任も導入できる。

 今までは、大蔵省の過保護の中で、金融機関は業務を展開してきた。預金者も銀行は大丈夫だと思ってきたし、金融機関の経営者だって、大蔵省の言いなりにならなければ、業務を展開していけない、逆に大蔵省の言うとおりにやっておけば安心と思ってきた。それを突然、自由競争だから、つぶれる金融機関はつぶれてもしょうがないと言われても、とまどうばかりである。本来、公的資金を民間に投入することは問題であると考えているが、金融機関は民間であっても、その金融機関によって成り立っている金融システムは公的なものである。これは絶対に支えなければならないものだ。大蔵省はまず、「今までの護送船団方式は間違っていた。しかし、大きい船は急に向きは変えられない。ここはひとつ、公的資金を投入することを許して欲しい」と頭を下げ、今までの行政の失敗に責任をとることで、国民感情を和らげ、公的資金の投入を図るべきだと思う。


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