11月18日

PHS

 先日、某長距離電話会社の決算説明会に出席してきた。子会社で展開しているPHS事業への失望から株価が低迷している会社だ。会社側でも、投資家のPHSへの不安が株価低迷の原因であるとの認識はあるようで、説明会の多くの時間を、PHS子会社社長のプレゼンテーションに費やされた。

 この話をきくと、PHSが本当に、中高生の玩具として使われているのが分かる。移動体通信の保有率は、10代25%、20代50%、30代50%、40代31%、50代10%となっているのだが、30代以降が携帯電話中心なのに対し、10代から20代はPHS、10代はPHSがほとんどなのである。これは販売時期にも表れる。携帯電話の販売が1年を通して平均的なのに対し、PHSは3月、4月、5月に集中している。入学祝い、入社祝いにPHSが使われているのである。

 また、使用時間を見ると、携帯電話とPHSの違いが更に見えてくる。携帯電話は朝9次時以降平均的に利用されているのに対し、PHSは夜中の11時から午前3時までに利用時間が集中している。夜中にデータ通信が急激に増えるということはない。NTTであれば、テレホーダイの時間に利用が集中するということもあるだろうが、PHSでは、そんな事はない。PHSの利用時間帯は一般加入電話の利用時間帯の推移と同じなのである。

 これを根拠に当社は、PHSを一般加入電話の代替品としての普及を宣言していた。しかし考えてみて欲しい。自宅の電話をPHSに変えてみたらどうなるかを。多分、電話をかけようとする度に、電話の在りかを探すだろう。「電話はどこだぁぁぁ!」と。

 あくまでも、PHSは中高生が安上がりに友だちの夜中に連絡を取るツールなのである。一般加入電話が全てPHSに置き換わることを期待するのは少々酷であろう。

 しかしながら、この会社はもう一つの切り口を用意してくれた。データ通信である。以前より、データ通信はPHSの方が良いといわれていた。しかしながら、データ通信において値段でもPHSの方が有利だとの実証を提示してきたのである。PHSの一人あたり利用料金は4,000円だそうだ。PHSの利用者が同じ時間携帯電話を利用したら、この3倍から4倍はかかるとのこと。長時間の通話時間となるデータ通信にはこれは致命的だろう。

 しかし、現在、データ通信を利用している人はどれくらいいるのだろうか。私だって、一応、いつでも、モバイルギアやレッツノートからインターネットやパソコン通信に携帯電話を利用してアクセス出来るような体制にはなっている。しかし実際に使うのはほんの数回である。それも知人に自慢する時だけ。本当に切実な思いで使う時というのは皆無に等しい。果たして、モバイルでのデータ通信を切実に必要としている人がどれだけいるのだろうか。まぁ、料金が、有線での電話料金よりも安くなれば別である。しかし、それまでは、それほどの需用はないような気がする。旅行をしていても、ホテルで電話線につなげれば済むことである。

 


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