忘れ物

 今日は1日中、忘れ物ばかりだった。朝、自宅をでて5分ほど歩いたところで、ザウルスと腕時計を忘れたことに気がついた。ザウルスはスケジュール帳として利用しているのだ。これがないと、今日のスケジュールが分からない。ま、スケジュールといっても、どこかの会社説明会(今の時期は中間決算の決算説明会)がほとんどなので、会社で調べれば何とかなるだろうと思い、自宅に取りに帰るのはあきらめた。

 午前中は某製薬会社の決算説明会。高脂血症治療薬のメバロチンという薬が年間売上1,700億円にもなるという、化け物みたい薬を擁する会社である。ノスカールという糖尿病治療薬も今期は300億円の売上げを計画している。両薬とも輸出が好調だ。多分来期、さ来期もこの2つの薬の輸出が当社の業績を牽引していくことだろう。しかし製薬会社の株価を見る場合に難しいのは、当面の業績では株価は動かないと言うことである。製薬会社の業績は景気にあまり依存しない。景気が悪くても病気になれば薬を服用するし、逆にいくら景気が良いからと言って、薬を一杯買うということもないからだ。そういう意味でディフェンシブストックと言われる。つまり景気が悪くなると業績が落ち込まないことから株が買われ、逆に景気が良いときには業績の変化率が小さいことから、あまり相場の中心になることはない。

 これだけならば簡単なのだ。しかし、このほかにも製薬会社を買うときに考えなければならない条件がある。それは行政。現在の日本は今後の高齢化に備え大幅に増加する医療費を抑制しなければならず、薬価引き下げや、医療費の包括化などの対応がとられている。こういった医療行政が製薬会社の業績に左右してくるわけである。

 そして何よりも、長期的に会社の業績を左右するのは新薬開発状況。特に、現在の日本では売上を上げれば上げるほど、薬価が引き下げられるので、国内で、医薬品の売上げを大きく伸ばすのは至難の技に近い。そうすると、海外で通用する薬を如何に開発するかが会社の業績を左右してくるのである。ところが、開発している薬が上市した時に国内でどれだけ売れるか、そして海外でどれだけ通用するかと言うのは、なかなか分からない。何せアナリスト向けの説明会でも医薬品業界の専門用語が飛び交うので、私も当初は外国語の説明会に出席しているのかと勘違いしてしまうほどであったのだ。

 製薬会社の株価を占う上で、どう言ったことに注意すべきかという話になってしまったが、要はこう言ったことを考えながら、説明会で話を聞いていたのである。そして説明会が終わり、昼食を食べに中華料理屋に入った。マーボーラーメンを食べ、店をでた。後で気がついたがここで傘を忘れてしまったようなのだ。ビニールの安物の傘ではない。柄が桜の木で出来ているブランドものの傘である。貰い物なので値段は知らないが、とにかく悔しい。明日、探しに行く予定でいるが、私は後で忘れ物を取りに行ったときに見つかったためしがない。先日このエッセイにも書いたが、ブラックモアズナイトのパンフレットも次の日にすかさず、ちゃんこ屋さんに探しに行った。しかし、見つからなかった。そういうものなのだ。それを分かっているので、常に忘れ物をしないように慎重に普段は行動しているのだが・・・。電車の中で鞄を忘れたこともない。忘れないように、席の上の棚に鞄を置かないようにしているし、肩かけの鞄にして、席に座ったときにも肩からはずさないようにしている。財布だって忘れないように、必ず背広の胸ポケットに入れている。ズボンの尻ポケットに入れると、落ちたときに気がつかないと思うからだ、これだけ気をつけているのに、忘れたときには二度と見つかることはない。なんかとても空しい思いである。


back to my homepage


WebMaster:Kimihiko Uchida b obubeck@can.bekkoame.or.jp
or otherwise qzg00456@niftyserve.or.jp
©copyright 1997 Kimihiko Uchida