旧友

 本日、久しぶりに大学時代の友人からメールがあった。この友人はなかなか面白いやつで、大学を3年のときに中退して、東京の私立大学に入り直した。その理由がふるっている。北海道だと年中バイクに乗ることが出来ないからだと・・・。それだけが理由ではないだろうと、更に聞き出すと、物理は趣味、ビジネスはそれとは別だとぬかしやがった。(^O^)

 その私立大学を卒業した後、私と同業の会社に入社したのだが、結局その会社を退社し、自分で会社をたち上げた。会社の中では結局やりたいことが出来ない。自分で会社をたち上げなければと考えたそうだ。こういった経歴を書くだけでも普通とは違うなと思われることだろう。しかし、会社をたち上げた後に会って話を聞くと、数年以内に店頭公開すると息巻いていた。

 いやはや、羨ましい限りである。既に結婚しているので、ご家族の理解が深いことも、これだけやりたいことが出来る要因だろう。"会社生活のときとは違う苦しみを体験している、だけど、これは楽しい苦しみだ"とメールには書かれていた。苦しみを楽しみとして昇華できるのは、やはり、自分のやりたいことをやっている、自分にリスクもリターンも全て返ってくると言う起業家ならではの夢と期待があるからだろう。私もいつかは"自分で会社を"と考えるのだが、具体的なビジネスプランが思い浮かばないと言うのが現状だ。




 「老人介護サービス」、この分野への企業の参入意欲はとても強い。何故なら、日本における高齢化の進行が他国に比べて高いこともあり、マーケットの成長性はとてつもなく高いと言われているからだ。例えば、寝たきり老人、ボケ老人の数は、現在が200万人なのに対し、介護保険がスタートする年には280万人、そして2010年には520万人に増えると予想されているそうだ。また、これに対して投入される介護費用も、現在が3,300億円なのに対し、保険がスタートする年には、1兆円、そして2010年には4兆2,000億円、そして、ピーク時には10兆円とも言われている。

 しかしながら、株式会社が、このマーケットに参入するメリットが果たしてあるのだろうか。まず第一に人材の問題がある。看護婦でさえ不足しているこの時代、ヘルパーを確保できるのかどうかが疑問に思える。その上、介護サービスは基本的に人件費がコストのほとんどを占めるビジネスになるだろう。そうすると、固定費の高いビジネスになることが予想される。これを如何に変動費化するかが決め手になってくるかもしれない。また、介護保険が導入されたときには、サービスの受け手とお金の出し手が別になることが予想される。そうすると、現在病院が抱えている問題と同様の問題を抱えるのではないかと想像されるのである。そして、一番大きな問題が、介護サービスとはとても公的な事業になるということである。これは逆に見ると、株式会社の基本である株主の利益を最大化するための行動をとれるかどうかと言う不安を持ってしまうのである。それでなくても、日本では企業が利益をだすことに対して嫌悪感を持つ人が多いのだから・・・。

 介護サービス自体は素晴らしいビジネスだと思う。社会的役割も大きいだろう。このビジネスが参入企業の「こんなはずではなかった。」という期待はずれのコメントを聞くことなく、成長していくことを切に願うばかりである。


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