証券詐欺

　インターネット上での初めての証券詐欺が米国で摘発された。米証券取引委員会（SEC）が9月12日に明らかにしたところによると、株式市場情報を提供するデイリー・ニュースレター「SGA Goldstar Whisper Stocks」の発行者が、倒産したビデオ電話企業のSystems of Excellence（McLean,Va.）の株価を不正につりあげたらしい。SEXI株を推薦するのと引き替えに同社株の25万株を受け取ったというのだ。このことを隠して、「SGA Goldstar Whisper Stocks」は同社株を推薦する情報を流したとして訴えられている。訴訟内容はこちらにあります。

　日本でも最近、証券業界に所属している人たちがホームページを持つようになっている。中には銘柄推奨をホームページ上で行っている人もいるだろう。しかし、上のような事件を起こさないように気を付けてもらいたいものだ。自分は大丈夫と思っている人も多いかもしれないが、銘柄が当たりだすと、それを利用して儲けようとする人たちが、近寄ってくるのである。いつの間にか、犯罪を起こしていることになるかもしれない。

　私は、ネット上で銘柄推奨、及びファンド推奨を行わないことを、自己に課して、活動を行っている。他の方のホームページを見ていると、銘柄の話をした方が、アクセス数も増えるだろうなと思うこともしばしばだ。「そんな気にすること無いのに。」と言って下さる方もいる。しかし、資産運用業に従事している以上、ホームページ上での銘柄推奨を始めたら、何かのきっかけで、犯罪に荷担してしまう可能性は否めない。最初は地道に自分が良いと思っている銘柄を勧めていたとしても、その銘柄の株価が上昇するようになると、この銘柄を推奨してくれといったメールが来るようになるかもしれない。また、そうならなくても、自分で購入してから、推奨すれば、確実に儲けられるようになるかもしれない。また、そう言ったことが無くても、悪いことをしているのではないかと、疑われることだってあるかもしれないのである。あくまでも、推奨銘柄が当たって、人気が出てくればの話だが・・・。

　私のエッセイ上で、個別銘柄の話題をだしているときもあるが、あくまでも、会社に話を聞きに行ったときに得た話題の中から、話をしているだけで、銘柄推奨ではない。株価はあくまでも水準との見合いである。会社から聞いた話をもとに高い成長力を持つ会社だと思っても、株価がそれ以上に高ければ、売りであるし、逆に、業績が低迷している会社でも、それ以上に株価が安ければ買いである。そして、それに触れずにお話をしているので、『銘柄推奨ではありません』とくぎを差しているのです。

　当然、internet上で、投資情報を探して投資しようと言う人たちは、自己責任原則を理解している人たちばかりでしょう。しかし、そう言った方々も、internet上の投資情報が全て真実だと思いこまない方が良いと思います。有名企業のホームページでも、本当に、その企業が発している情報かどうかわかりませんし、中には、会社全体の判断とか情報とは全く別に、担当者の独断で運営されているかもしれませんよ。

　今日は、もう一つ、internet上の犯罪の話をしましょう。

　大型パソコンチェーン、ソフマップについて「13〜15日、および16日に重大な行動を起こすことになっている（すでにこの日付は過ぎている）」として倒産をにおわせ、「手持ちのルピー（ソフマップのポイントシステム）をすべて使い果たす」ようによびかけるチェーンメールが先週から横行しているらしい。このところ偽ウィルス情報などでチェーンメールが横行していたが、今回の事件は、ソフマップという実在の会社の経営を脅かす可能性もあるもので、許し難い犯罪である。

　会社の経営なんて、危うい物である。成長性の高い、利益が十分出ている会社が、ちょっとした噂で、倒産してしまうことだってある。噂が本当になってしまうのだ。噂を気にして、銀行が金を貸さなくなり、その結果、キャッシュフローが回らなくなり、黒字倒産したという例が数年前にも店頭公開会社にもあった。つまり、こういった、悪質な噂を流すことは重大犯罪なのである。そして、チェーンメールを指示通り、他に流した人も、その犯罪に荷担していることになるのではないか。

　こう考えると、internet上の犯罪は、知らず知らずのうちに、自分も荷担している可能性もあり、十分に気を付けて、ネット上での活動を行わなければならないと思うのである。

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