トップセミナー

 今日は某外資系証券会社の主催するトップセミナーに参加し、コマツ、NEC、日東電工、KDDのトップの方の話を聞いてきました。主催の外資系証券会社は今までも、同様のセミナーをたくさん開催していますし、普段でも、1社ごとに店頭公開会社や中小型の上場会社の社長を招いてセミナーを開いています。機関投資家にとって、経営トップと話をする機会は少ない上、現在は会社訪問して広報の方と仲良くなったからといって、「ここだけの話」を教えてくれる時代ではありません。一昔前は特に国内証券系のアナリストは、「ここだけの話」が非常に重要だったし、実際に、何回も訪問して広報の方と仲良くなると、足元の数字が計画より大幅に上回っていることなどを教えてくれたようです。しかし、機関投資家にとっては、そんなこことで短期的な利益を追うよりは、経営者が会社をどちらの方向にもっていこうとしているかのほうが重要なのです。つまり、広報の方に足元の数字を人より早く聞くよりも、経営者の話を聞きたいのです。業界環境をどのように認識しているか。その中でどのように舵をとっていこうとしているのか。それらによって、会社の長期的な成長力を判断し長期的な投資をしていくのです。

 ところが、今まで国内系は証券会社はそういった機会を提供してくれませんでした。自社の引き受けた店頭公開会社の説明会を開くことはあっても、既に上場している会社のトップの話を聞く機会を提供してはくれませんでした。せいぜい、アナリストの書いたレポートを持ってくるくらいです。しかし、外資系証券会社は、機関投資家相手のビジネスは既に経験済みです。営業マンの相場感などを聞いてもしょうがないと言うことをわかっているのです。それよりも、経営者の話を聞く機会を作ったり、店舗見学や工場見学を企画する。こういったサービスによって、当該会社の投資判断を自分で考えられる機会を提供することで、手数料を稼ごうとしているのです。勝負は既に見えていますね。個人的にも、売買発注が私の自由になるのなら、注文の8割くらいは外資系に出すでしょうから。

 証券会社のサービスについての話はこれ位にして、今日のセミナーに参加した感想を少しアップしようと思います。基本的に私は個別銘柄の投資判断をinternet上で語るのを自己規制しておりますので、そのつもりで読んでください。投資判断とはまったくの別物です。

まず、コマツ。非常に経営戦略が明確な上、国際化が進んでいる会社です。社長の話の出だしが「当社は、英語の話せない社員がほとんどですので・・・」でした。外人の英語による質問も通訳無しに聞いていました。これ位当然だと思うかもしれませんが、他の会社はみんな、通訳を聞いていましたよ。その上、自分の会社がどの分野に強く、どこで利益を出していくんだということがはっきり分かっている。もっと古い感覚の会社かと思っていました。しかし、エキシマレーザーに関しては社長は関与していないと言うことなので、新分野に関しては、他人任せの感は否めませんけどね。また、投資家からは既存事業と半導体事業とのシナジー効果が無いことに不安を持っているようですね。

 NECは常務クラスの人が話をしたのですが、コマツとまったく逆に、国際感覚、そして株主への対応が貧弱なのに驚きました。結局、NECというのは関本さんの会社、この人が会社を引っ張っていると言うことなのでしょうか。日東電工はよく分かりません。「集中と選択」という現在の経営のはやりとはまったく逆の経営を志している上、事業規模もまだまだ小さい。ただ、ニッチマーケットをたくさん集めていくとの経営戦略は今のところ成功しているのでしょう。ただし、人件費率が高まってしまうのは結果として当然で、避けられないことだと思います。投資家としては、液晶関連から医薬品まで幅広く扱ってるこの会社どう評価するかは非常に難しいところです。

 KDDは、話を聞くまではもっと役人化したNTTみたいな会社と思っていましたが、国際化、そして株主重視を明確にしている会社であることにびっくりしました。当面は利益が低迷するでしょう。国内通信事業への算入を控え、相当規模での設備投資が必要ですから。でも、現在の国際通信事業での顧客満足度は世界規模でトップクラスです。中期的には株主の期待にも応えてくれることでしょう。

 あくまでも、私の投資判断とは別物ですので、その辺を理解した上でお読みいただけると幸いです。


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