顧客の囲い込み

 本日、某家電量販店の決算説明会に参加した。YKK戦争の一翼を担っている会社だ。アナリストの評価はあまり高くないのだが、業績は順調に伸びている。今期の計画でも他の家電量販店を凌駕するような数字を提示している。

 まぁ、投資推奨をしようと言うわけではないので、今期の業績が本当に達成できるかどうかはどうでも良いことだ。今日、書きたいと思ったことは、この説明会で社長が言っていた顧客の囲い込みに関しての内容だ。この社長は昔、ナショナルの代理店で営業していたらしい。その時に、顧客に手紙を書いたり、半年に一度イベントを開いたりと色々な顧客囲い込みを実践したらしい。しかしながら、何をやっても、顧客の100%がリピーターとなることはなかったという。それどころか5割にも満たないという。顧客の家に入ってお茶を飲んでいると、他社で買ったと思われる子供の嗜好品(ウオークマンか何かだろう)を見つけることも多かったという。

 結局、価格が全て、家電で顧客の囲い込みなんて無理だとの結論にこの社長は至ったようだ。特に調理家電やコタツ等のように必需品でありながらライフサイクルの長い物は、他社との差別化も難しく、後は価格が勝負になるとのこと。この体験が現在の安売り競争に現れているのだろう。体験に基づく戦略というのは心強い物がある。この社長が周りから何を言われても、安売りを続けていけるのは、この過去の体験があるからなのだろう。

 実際、私がパソコンを買うときも、ここで買うと決めている店はない。その店のカードを使うことで安く買えるのなら、その店で買うが、それよりも安く他で買えるのなら、別にカードを作った店にはこだわらないだろう。また、買おうと思う商品に関しては、少なくても2〜3件の店で値段を確認する。同じであればデリバリーなどのサービスが充実している店を選ぶが、そうでなければ、安い店を選択するだけだ。そう考えると、この社長の戦略は実は消費者の心をつかんでいると言えるのではないだろうか。ただし、この会社で買うことで、本当に他社よりも安く買える商品ばかりなのかは疑問であるが・・。


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