ブラジル債

 日経の広告面にもでていたが、ブラジルが日本円で国債を2000億円、個人向けに発行する。2年で利率は3.75%。税引きで3.0%にもなる。この低金利の環境下。多少リスクを取っても、高い利回りが欲しいと言う、個人投資家は多いのだろう。しかし、ちょっと待って欲しい。「多少のリスク」なら良いのだが、このブラジル債、「多少のリスク」ではないのかもしれないのだ。

 その新聞公告には、リスクがあるとの表示しかない。個人投資家の中には、「国債はディフォルトしない」と思っている人も多いだろう。そう言う投資家がこの広告を見ても、「リスクというのは価格変動リスク、償還まで待てば関係ないんでしょう。」と考えてしまうのではないか。しかし、このブラジル債、新聞公告には何も表示がなかったが、ムーディーズはB1、S&PはBB+の格付をつけているのだ。一般的に、ムーディーズでBaa3、S&PでBBB−以上が投資適格と言われる。つまり、ブラジル債は投資適格の範疇には入らない、いわゆるジャンク債なのである。そして、ムーディーズによれば、B1の債券が2年以内にディフォルトする確率は、およそ10%である。つまり、同じ格付の債券が10個あれば、そのうちの1個はディフォルトするのである。

 例えば、10個の債券に2年債に分散投資すると考えよう。そのうち1個は、元本がなくなってしまうと考えると、損失は10%である。1年当り5%だから、残り9個の債券が5%以上で運用できれば、問題はない。実際、ジャンク債ファンドなどはそのような考え方に則って運用される。しかし、その債券だけに投資する場合は、定められた元利払を受ける事が出来るかそれとも、元本がゼロになってしまうかのいずれかである。その見返りが3.5%というのは、果たして、リスクに見合った投資と言えるのか。

 「絶対にブラジルがディフォルトするはずがない。IMFだって支援すると言っているではないか。」という考えにたって投資するのであれば、何も問題はない。格付機関が絶対ではない。あくまでも格付は格付機関の意見でしかないのだから。しかし、果たして2000億円のブラジル債を購入する人たちが果たして、そのようにリスクを認識しているのだろうか。販売する人は、そのような事を説明して販売するのだろうか。この新聞公告を見る限り、非常に不安になるのである。もしかして証券会社は10年前から何も変わっていないのではないかと。



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